はじめまして、もしくはこんにちは。スマブラコミュニティでデザイナーとして活動しているKurotei / Masaki Ando / Wolphtypeです。先日2025.11.2–3に行われた篝火14では、クリエイティブディレクター兼アートディレクター兼グラフィックデザイナー兼プロジェクトマネージャーとして携わらせていただきました。何が何やらって感じですね。僕もそんな感じです。今回は、昨年スマ納め2024の振り返りと同様に篝火14の自分やクリエイティブチームの制作物を振り返り、これまでから何を改善できたのか、そして何が課題としてあるのかをまとめていきます。
本記事はスマブラAdvent Calendar 2025の1日目の記事なので、僭越ながら第一走者として始めさせていただきます。昨年は24に設定した結果かなり遅れての投稿になってしまったので、今年は逆に敢えて早めに終わらせてしまおうということで。ただ、Advent Calendarに登録されていく経過を眺めていたらなぜかみんな後半に登録していっていて、避けられてて泣きました。悲しみ…(今は前半にも他の記事があります)。明日はクロマキバレットさんの記事です。ぜひ、他の記事も読んでみてください。
これまでのスマブラコミュニティでの活動に関しては去年の記事や紹介記事などを参照していただくこととして割愛させていただきますが、篝火14は(も)たくさんのチャレンジがあった回でした。スマ納めで明確に人とタスクのマネジメントというものやアートディレクションという役割を意識し始め、篝火13ではリードデザイン(大会全体のビジュアルの方向性のデザイン)を手放した状態で上記の役割を実践しました。そして今回は、リードデザインも行いながら、マネジメントとディレクションを実践しました。
結果としては非常に満足していて、やり切ったな、という気持ちです。もちろん細かい改善点とか、自分のデザインそもそもの腕前といった反省点はあるのですが、地道に今までの課題を解決できている感覚があります。どういったことを改善したかを含め、早速始めていきましょう。
この記事はスマブラコミュニティの方々に向けて書いていますが、他の界隈から訪れてくださっている方もいらっしゃると思います。スマブラコミュニティやコミュニティ大会、そして篝火は特異な形態をしているので、あらかじめそこを明らかにさせてください。
まず、篝火は任天堂から発売されているSwitch向けゲーム、スマブラSP(大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL)を用いた、日本最大規模のコミュニティ大会です。2020年から始まったこの大会は今回で14回を迎え、最初は133人の参加者だったものが、前回の13回では2500人近くの参加者が日本だけでなく海外からも参加する超大規模大会となっています。当日の大会の様子などは、カメラマンの方々の写真などを見てみてください。(ちなみに、他の大会は大体100〜500人程度の規模が多いです。500人でも相当多いですし、1000人でもかなり多いと言えます。)そして「コミュニティ大会」と呼ばれる所以ですが、これらの大会は全て任天堂やその他企業ではなく、プレイヤーや個人個人がボランティアとして集まり大会を開いています。こういった非公式・非営利でのプレイヤーが開く大会がゲームキューブのスマブラDXくらいの頃から脈々と受け継がれており、WiiのスマブラX、3DS/Wii
UのスマブラFor、そしてSwitchのスマブラSPと続いてきているわけですね。任天堂さんもスマブラSP発売初期や中期にはリーグや大会を開いてくださっていましたが、元々のパーティゲームというコンセプト上ガチ対戦を推奨するような形ではありませんでした。(僕はコミュニティ大会の歴史に詳しくはないので、間違っていたところがあればすみません。詳しいシーンについては、YouTubeのSmash Documentaryなどをみるのが良いかと。)
そして大会の運営は参加者の参加費によって成り立っており、当然運営スタッフはデザイン/クリエイティブチームを含め全員ボランティアです。僕のように趣味やグラフィックデザインを鍛えるためにやっている人もいますし、スマブラというゲームが好きで大会に携わる中でデザインを始めた人、そして実際に参加者がいるプロジェクトの中で実績を積んでいきたい人など、さまざまな動機でデザインチームの人々は構成されています。篝火は日本で一番大きい大会だけあって、また人を育てるところも重要視しているところもありデザインチームは合計16人くらいいます。すごい。そして、主に大会のを告知する画像や大会のグッズ、そして大会には配信が欠かせないので配信に載せる配信アセット、そして配信で流す動画などを作る役割を担っています。
こういった環境なので、スマブラコミュニティは「なければ自分で作る」という文化が強く根付いていると思います。大会はもちろんその一つですし、対戦会や宅オフ(家でのオフ対戦)、スマメイトというオンラインでのレート対戦プラットフォーム、オンライン大会機能、僕の作っているBraceBracketを含めたスコアボードツール、そしてカメラマン文化など。そんな「やりたいことを自分でやる」という空気感を感じつつ、読んでいただけたら幸いです。
多少の抜けはあるかもしれませんが、こちらは篝火14のチームでの全ての制作物です。左が映像類、真ん中がグラフィック類、右がグッズ類となっています。制作物自体はステージ企画があったスマ納めや、海外の選手も参加し盛り上がった前回の篝火13と比べると少ないとは思いますが、それでも相当な量があると言えるでしょう。リストにすると以下のような感じです。
いや、やっぱり普通に多いですね。改めてクリエイティブチームの皆さんがいてなんとかやり切れたなと思います。今回、篝火13のテーマソングとしてSARUKANIさんからいただいたCROWNのMV制作も同時期に走っており、そちらにも3人ほど篝火のチームから関わっていて人手も少ない状態でしたが、なんとか走り切れました。クレジットは以下のハイライトムービーのショットを見ていただければ。
そもそも篝火に関わることになったのは、2022年の篝火8の頃でした。そのときはまだただの1視聴者で、西武撃のデザインを始め、EGSの皆さんとも関わり始めて半年経つか経たないかといったところです。その時は、篝火のメインのデザイナーを務めていたAkabaneさんに僕の書体を使いたいと申し出をいただき、Narukamiという書体を提供したり、「篝火」のレタリングのフィードバックをさせていただきました。あの時のAkabaneさんの動画がめちゃくちゃカッコ良かったこととトーナメント自体のストーリー性も強く記憶に残っている大会です。終わってから見てみると、気持ち今回とグラデーションのかけ方とか、雰囲気が似ているかもしれませんね。ただ、その時は篝火のデザインに自分が携わるとは夢には思っていませんでした(というかこの年って1月と5月と7月に篝火やってるんですね。エグすぎる)。
その後、篝火11の際に再度Akabaneさんからデザインに参加しませんかとお声がけをいただいたのですが、その時は自分が担当していた西武撃15に力を入れていたため、サムネイル作成やフィードバックのみでの参加になりました。その後も篝火には力を入れて参加したいと考えてはいたものの、12はフランスに移って引っ越した直後だったので余裕がなくてほとんど参加できず。13は最初は参加する気はなく初回のキックオフだけ出たのですが、今までディレクションをされていたおすしっくすさんとAkabaneさんがどちらも忙しそうだった上に、海外勢も多数参加する大規模な大会になりそうでディレクションやマネジメントに入った方が良さそうだったため、なし崩し的に参加することになりフタガミハルキミさんのリードデザインの元デザインの展開やタスク管理を行いました。
そして篝火14。今回、色々な要因が重なり自分が全力で取り組むのにいい機会だったので、13に引き続き参加させていただくことになりました。その理由を下記に述べます。
まず、自分が今年の6月に会社を辞めて独立し、割と時間がありました。篝火に全力で取り組んでみたいとは今まで思っていたのですが、何かとタイミングが合わず、なかなか時間をかけられませんでしたが、今回はようやく来た絶好の機会でした。かつ、今回は今までリードデザインを行なっていたおすしっくすさんやフタガミさんが忙し目で、自分がやっても良さそうな空気感だったというのもあります。
また、自分は篝火に関わるにあたって、今まで長く携わってきたAkabaneさんと一緒にやりたいというのも理由にありました。AkabaneさんにはEGSのサーバーで話したり、フィードバックをさせていただいたりといった機会はあったものの、一緒の大会でクリエイティブをやる機会はありませんでした。Akabaneさんが就職されてからはより忙しくなり、篝火13もあまり参加されていませんでしたが、篝火14には参加意欲があるとのことだったのも大きいです。
そもそもの私のスマブラコミュニティ大会への参加は、本業としている書体デザインの傍でグラフィックデザインを鍛えたいという目的がありました。しかし、3年ほどデザインに参加させていただいて、だんだん自分の才能というか、センス的なものへの限界や諦めを感じつつありました。それと同時に、コミュニティ大会に自分の専門性、書体デザインを活かして打ち込みたいとも思っていました。
独立してから自分の書体としてDoppoという書体を制作し始めており、それが使えるくらいの完成度まで来ていたので、それをちょうど使いたい機会でもありました。
上に色々と理由を並べましたが、それらはこの理由に帰結します。遡ると自分は2023年くらいからスマブラコミュニティのデザインから引退しようしようと言っていた気がします。理由としては西武撃を通して割とグラフィックデザインでやりたいことはやり切れたし、BraceBracketも結構スタンダードとして定着したし、割とコミュニティ内で知名度も得たし…と。逆に、スマ納めや篝火13を通して、同じような座組で取り掛かることも多くなり、自分がディレクション側に立ち、Figmaでグリッドとコンポーネントを作り、タスク管理をしながらフィードバックをして…と同じような形になることが多くなってきました。そして、自分のある種「形式」が固まっていて、デザインそのものも基本の色と書体だけを変えて再生産しており、進め方自体もシステム化を進めすぎるきらいがあることを自覚しつつありました。結果、自分の型にはめることが結果一緒にやるデザインチームの成長を阻んでいるのではないかとも感じていましたし、同時にそろそろ自分の本業、書体デザインに力を入れなければとも思っていました。
そう思いつつも、「篝火を書体デザインを使ってAkabaneさんと全力でやる」ことだけが未練としてあったため、ようやく終わらせるに相応しい機会が来たな、と言ったところです。
改めて、今回の役割が横文字だとわかりづらいので整理したいと思います。
篝火14のデザイン全体の方向性を、コンセプトから練っていく役割をAkabaneさんと共同で務めました。Akabaneさんが最初にキャッチコピーやどのような気持ちで臨むのかを言葉で考え、それをチームで練り、自分はグラフィックデザインへ、AkabaneさんはCGへビジュアルに昇華していき、全体のデザイン方針を作る役割です。
自分が作ったデザインの方向性をチームで共有し、その足並みや向いている方向が揃うようまとめていく役割です。まず自分の制作物で見本を示し、チームが作ってくれたデザインにフィードバック(以後FB)を行っていきました。僕はグラフィックを担当し、モーションはAkameさんが担当していました。
まあこれはシンプルですね。アートディレクターとしての指示出しやFBだけではなく、自分でも手を動かして幾つかのデザインを制作しました。
早い話がタスク管理の役割です。運営スタッフから依頼されたタスクをチームに割り振ったり、進捗を確認したり、全体のタスクがどの状態にあるかを整理したりといったことを行いました。今回は大会をより良くするべく、全てのチャンネルに目を通して、積極的に他のスタッフとコミュニケーションを取りタスクを拾ったり必要なものを練り上げていく/逆に必要性を吟味していくことにも力を入れました。要はひたすらDiscordでのコミュニケーションをする感じですね。今14からのDiscordのチャット送信履歴を見たら2000くらいでした。Discord好きすぎる。
前回、深く篝火に関わり、終わった後に各々振り返りを行ったことで色々な反省点、改善点が見つかりました。今回、そういった改善点を適用しうまく改善したり、下準備を行ったことでスマ納めや前回よりかなりスムーズに制作を進められたので、それらを紹介します。
以前はファイルをGoogle Driveで管理していたのですが、どうもあんまりみんなが使ってくれなかったりファイルがうまく同期されなかったり…という問題がありました。今回はDropboxに移行したことでかなりファイル周りがスムーズに管理できました。フォルダ構造に関しては、制作用のフォルダ/プレビュー用のフォルダ/納品用のフォルダ/アセット用のフォルダのように分けています。
スマ納めと篝火13ではタスク管理をスプレッドシートで行っていましたが、「悪くはない、でもベストかというと…」という感触でした。理由としては、
みたいな感じです。今回はいくつかのツールを触ったのち、Notionを使うことにしました。タスクの依頼者がNotion上でタスクを作成してDiscordでスレッドを立て、担当者が進捗管理をするというのはスプレッドシートと同様です。しかし、Notionのデータベースはボードビューやタイムラインビューといった複数の形態を取れるので、今のタスクのステージや締め切り感が把握しやすくなり、GUIを伴ったことでデザイナー自身でも触ってくれる人が増えました。
また、NotionのインテグレーションとDiscordのbotを作成し、「完了していないタスクの締め切りが1週間前/3日前/明日/当日の時、Discordでリマインドする」仕組みを作成しました。これによって、そもそも能動的に見に行く必要があり見逃しがちだった締め切りを受動的に受け取れるようになり、また「進捗を聞く」というやや心理的なハードルが高い作業をシステムに任せられるようになり、プロマネとして心理的なコストを軽減できました。コードはChatGPTに作成してもらい、GitHub Actionsで毎日動かしています。これに関してはGPTさまさまとしか言いようがないですね…
このシステムはつい最近、大会終了後にSqkurqさんと僕でアップデートを行いより使いやすくなっています。具体的には、タスク依頼フォームを作り依頼者がフォームを送信すれば自動でDiscord Botがスレッドを立てて該当ロールにメンションをしてくれるようになり、リマインドの際も担当者のハンドルネームとDiscord IDの対応DBを作ることでメンションをしてくれるようになっています。
今更何をという感じですが、2022年に西武撃のデザインを始めた頃は、デザインチーム内では仲良くしようと努めていましたが他の部門の運営スタッフの方々とは一定の距離感を保っていたというか、ドライに接しているところがありました。しかし、ここ一年くらいでより密にコミュニケーションを取り、積極的に通話にも参加し、仲良くなっていった方がうまく行くなと感じ始めました(当たり前)。自分は競技からではなく最初からデザインスタッフで入っているのでどこか外様だと感じていたのですが、全然そんなことないですね。結果スムーズに色々進められましたし、当日大会に行った時とか打ち上げが楽しかったです。
あと、前回はクリエイティブのスレッドに目を通せていないものもあったのですが、今回は全部入るようにしました。Discordのスレッドは便利な一方入っていない人からは全く見えないので、どのくらい見えるようにするかは悩ましいところです。
これはシンプルに慣れですね。前回は週一の進捗報告が全員はできていなかったり、Figmaに不慣れなところもありましたが、回を重ねみんな慣れてきたことで前回よりもずっとスムーズになりました。他部門と仲良くなるのももちろん大事ですが、チーム内で息を合わせていくのも同様に大事だと感じます。
一方、まだ週に一回の定例会議では和気藹々とやれれば良いのですが、自分が一方的に喋ることが多く、あまり相打ちや発言が出ない状況になっているのは難しさを感じています。とはいえ、これは声だけの打ち合わせだと被さってしまうことも多く、そうなるとビデオで顔出しをして…みたいな方向になってしまいそうで、それは違うよなという感覚もあります。
それでは制作物を大体時系列順に説明していこうと思います。制作にあたって意識したポイントや思い出、メンバーとのやりとりなどを交えつつ。
前提として、今回篝火14のデザインにおけるサンセリフの欧文は僕が制作している書体、Doppoを使っています。それに和文のゴシックには凸版文久ゴシック、明朝は凸版文久明朝を合わせています。これは前述した通り自分の専門性を活かしてスマブラの制作に参加したいという気持ちから使わせていただきました。この書体はもともと2024年の2月くらいに作り始め、最初は篝火12に使えたらと思っていたのですが引っ越しなどが重なり制作を中断。しかし、6月ごろにプレゼンのスライドを作る必要があり、そのために再開しそこから作り続けていたものでした。
非常に細いウェイトから太いウェイトまでをカバーしていて、かなりシンプルでプリミティブな、グロテスク体の荒々しさを感じさせないような書体を意識しつつ、幅の狭いCompressedのスタイルや幅の広いExtendedのスタイルまで広げており、極限のところで個性が見えてくるような柔軟さも持ち合わせています。篝火14の開始時点では、通常の幅はほとんどすべての文字が揃い、使える状態となっていました。キックオフ後も通して制作を続け、ある程度使えるところまで幅の狭いCompressedを制作しました。
14の最初の動きはKV(キービジュアル)のキックオフからでした。KVとはその名の通りその大会の鍵となるビジュアル、一枚絵のことで、具体的にはstart.ggのバナーにそのまま使われたり、そのデザインを基準として他の制作物が形作られていきます。
今回はAkabaneさんが最初から携わりたいという事で、Akabaneさんが主導で早めに動き出していきました。最初は各々のモチベーションとかツール周りの確認がメインで、この時はあんまりコンセプトまでは踏み込まなかった気がします…多分。ただ、「篝火13が大々的に盛り上がり、その後競技スマブラのコミュニティは落ち着いてきている。引退した人も少なくない。そんな中でも、最上位の層は移り変わっている。そこにどうアプローチするか・どう表現するか」という今回の核となった部分は共有していた気がします。
開催日告知画像はほとんどの場合KVが完成する前に作らなければいけないことが多く、大体デザイナーが好きに作っています。今回に関しても、最初は自分の書体使って好きに作ろ〜といった心持ちでした。
篝火14のデザインを手掛けさせていただくにあたって、Akabaneさんのコンセプト以前に自分の中で「タイポグラフィをまっすぐ使うものにしよう」という方向性を固めていました。というのも、自分は他のグラフィックデザイナーの方を見ていると、象徴的なシンボルを作ったり、レタリングやレイアウトをうまく「外し」てフック(目の引きどころ)を作るのが苦手だなと感じており、あえてストレートなタイポグラフィ、組みで勝負するのが一番自分に合っているだろうと考えていたからです。そのため、開催日告知画像も最初から文字のみで、まずは2パターンほど作ってみることにしました。
1パターン目は、「14」を右に大きく2行分の高さで配置し、そこに少しだけあしらいを加えつつKagaribi 14といった大会名や日付を半分の高さで並べて、全体をRegularくらいの太さで組もうとしていました。画像が残っていないのでイメージになってはしまいますが、全体的に横長でシンプルでありつつちょっと遊びがあるイメージです。しかし、ちょっと試してみた時点であまりうまくいく感じがせず、早々に2パターン目を試すことにしました。
グラフィックデザインでは「メリハリ」「コントラスト」が重要だとよく言われます。具体的には、タイトルや見出しといった目立たせたい要素と、本文やキャプションといったそれに追随する要素の間で文字のサイズ・色・太さ・あしらいの変化をつけ、「見せたい・読ませたい要素をより目立たせる」「重要な情報からその補足まで、視線を順番に誘導する」テクニックです。要素感の変化度合い、違いの大きさはジャンプ率と呼ばれ、見出しと本文が近い太さで同じ色、サイズの変化も小さければ「ジャンプ率が低い」、逆に見出しを本文よりわかりやすく大きく、太く、さらに色を赤に変更…とすれば本文よりもずっと目立ち「ジャンプ率が高い」と言えます。大会の告知画像においては、大会名=優先度高、開催日=優先度中、会場や規模=優先度小となることが多く、大抵の告知画像は優先度が高い順に大きく配置されています。
しかし、2パターン目ではあえてそのセオリーを無視して、全てを同じサイズと太さで並列にに並べてみることにしました。これはリサーチとして見ていたポスターのグラフィックからインスピレーションを受けてのものでしたが、これが思ったよりもいい。フォントの中でもかなり太めのウェイトを選び、さらにトラッキング(全体の文字間)を少し詰めてみたところ、自分があまり今まで作ったことのないソリッドなテクスチャになり、即決でそのまま作り切ることにしました。
色という点では、篝火は大体赤を中心として黒と白を使っていく感じなのでその辺りの変化は小さくなりますが、篝火のシンボルをどう変えるか、というのも遊びどころの一つです。今回は、競技スマブラコミュニティの落ち着きとか引退といった背景を考えて、赤から背景に溶けていくようなグラデーションにしています。篝火13で燃え盛りすぎた故に、燃料がなくなり消え入りそうなイメージです。ただ、シンボルはメインにせず、あくまで背景的な要素として使っていて、メインの文字が際立つようにしています。文字は白から赤へのグラデーションで、地層のような、別々の世代がうっすら繋がっているような感覚で。
また、今回真っ白(#FFFFFF)ではなくやや暗くしているライトグレー(#DBDCD7)を採用しているのも個人的には新しいポイントです。なんでと言われると難しいのですが、やや後ろ向きとも取れるテーマで白を使うのは何か合わず、ライトグレーの方がよく馴染んだんですよね。長くなりましたが、そんな感じで開催日の告知を作りました。
開催日告知画像の後、start.ggの公開のためにこちらもKVを作成する前に公開する必要がありました。基本は開催日告知画像に則って作っています。開催日告知画像を出したのち、Akabaneさんと話し合いシンボルのグラデーションのかかり方があまり綺麗ではなく、少し角になっているところが気になったり、後ろ側に回っている炎の部分が前に出てしまったりといった問題があったためまずはそこを改善しました。
その中で、赤と黒を反転してみたらそれはそれで新しくて良かったので、そのまま赤背景の方を採用しました。最初は文字部分を白から黒へのグラデーションにしていましたが、やっぱり読みづらいので白のみにしています。


KVを作るにあたってAkabaneさんが背景CGを練っている間、グラフィック方面のKVの方向性も探っていました。DIYの時代からWhole Earth Catalogを最初に想起したのですが、デザインに活かしづらそうだったので一旦その方向は中断。レトラセットや写植が良いのではないかと思い、家にあったアイデアNo. 310を見てインスピレーションを得ていきました。向井裕一、東幸央、杉下城司、宗利淳一らのデザインから、大まかなイメージとして、太く、詰まり、大きいストレートなスタイルで、詰まったスペーシングと罫線で緊張感のある印象を目指しました。僕くらいの20代後半以降の世代には少し懐かしいような、古いような印象を得るかもしれませんが、スマブラのメインターゲットである20前後の人々には逆に新鮮に映ってくれるのではないかと期待しました。
自分が手がけている大会では、まず最初のSNS用の画像を作りながらFigmaのコンポーネント周りを練っていき、同時にその大会内でのスタイルを固めていきます。今回はフォントに自分の書体であるDoppoを使いトラッキングを-30にして特定のStylistic Setsを指定し、合わせる和文としてAdobe Fontsかプリインストール、フリーフォントに限られる中でその時代感を出すには凸版文久ファミリーが最も適切だと思い凸版文久ゴシック、見出しゴシック、見出し明朝を制定しました。その後、色やグリッドも決めていったのですが、グリッドもいつもは各カラム間のギャップを2文字程度開けるところを思い切って5pxというかなり狭い間隔に設定しています。
そうして設定したグリッドやフォントを用いて最初に作ったのがこちらの募集要項ですが、初めからかなり良くできたと思います。余白の空間よりも文字や罫線でオブジェクトの境界を認識させることを意識しています。最初は背景もありましたが、高品質なAkabaneさんのCGを隠してしまうよりも、そのまま文字を乗せたほうが良さそうだったので薄く黒を敷くだけに留めました。細い罫線は1px、太い罫線は5pxにして大項目と小項目の分類を行なっています。「人」「¥」「事前決済」などの補足情報は、昨今では文字の上か下に揃えることが多いですがあえて写植時代意識で中央に揃えています。


優先枠の画像に関しては、募集要項と比べるとあまりこだわり用のない画面ではあるのですが、今回は2点ほど前のものから変更しました。
一つ目は、今までFigma上やpsdのスクリプトで選手名を載せていたところを、Illustratorを使うようにしました。Figmaは非常に便利なのですが、一点だけ不便なところとしてIllustratorやInDesignにおけるスレッドテキスト(内容の連続するテキストボックス)がなかったことが挙げられます。この機能がないと、スプレッドシートから選手を移す際に行数分コピー→ペーストという作業を繰り返す必要があり、5列くらいならまだしも24列もある篝火の優先枠では非常に面倒でした。また、全員分入れて見ないことにや幅や一列あたりの行数の調整ができないため、その点でもまとめてコピー&ペーストができるIllustratorを使い、名前だけpngで書き出してFigmaに持っていく形にしました。Figmaでその機能があればいいんですが……
二つ目は、スタッフ側からの要望でstart.ggにおけるDiscriminator、識別子を載せるようにしました。これはIDのようなもので、同名のプレイヤーがいた際などの判別に利用するものです。名前と判別でき、かつ目立ちすぎないよう記載後に正規表現を用いて文字スタイルを割り当て、小さく薄めにしています。正規表現を使って文字スタイルを割り当てられるのは外部のスクリプトを利用していますが、そういったところもIllustratorの利点ではあります。InDesignならネイティブで正規表現スタイルが使えるので、次はそっちの方がいいかもしれません。
持参枠の注意書きに関しては特にいうことがありません。そろそろSwitch 2が欲しいような、かといって特にやるゲームもなく買わないまま半年ほど経とうとしています。


篝火は長方形のフォーマットのほかに正方形の画像フォーマットもあり、デザイン班以外でも画像の作成ができるようになっています。今回は自分が作りましたが、情報量に合わせて画像サイズは上下方向に可変できるようにコンポーネントを組んでいます。




キービジュアルに関しては、Akabaneさんと話した記事を別に上げる予定なのでそちらを読んでいただけるのがよりわかりやすいでしょう。進め方としては、最初にAkabaneさんがCGの背景を作っている間に僕はリサーチや募集要項を作ってグラフィックの方向性を固め、CGがある程度固まってからキービジュアルに取り掛かりました。
制作は結構難航し、とりあえず案を多方面にたくさん作る形で進めていきました。メインの案として全ての要素を同じサイズで2段にして並べるレイアウトを採用しつつ、他の案も検討しています。デザインするにあたって特に考えなければいけない点は以下のものでした。
最初は二段のレイアウトで、それぞれを画面の上端と下端に配置するようにしたら他の画面にも対応できて面白いのでは…と考えていましたが、3つ目のstartggの仕様上それはできず。かといってPC版でのトリミングを想定して上下に離すと、スマホで見たときに中途半端な位置になってしまいます。そのため結果的に中央に寄せることに。単色のライトグレーのみだとタイトルとキャッチコピーの差異をつけられる目が滑ってしまうためにグラデーションを追加しました。そして、上下の要素の幅をいっぱいにすると視線が迷いそうだったため、アシンメトリックにして目が引っかかるところを作るようにしました。
また、前回のフタガミさんが制作された閃光のようなシンボルを作りたいと思い、今回チャレンジしてみたかったモノグラムもトライしてみましたが、これもうまく機能したかというとちょっと扱いが難しくなってしまったなという気持ちがあります。文字を専門にしていながらここでクオリティを出せないのは恥ずかしいですし、結構モノグラムという形式は好きなので今後も深ぼっていきたいと思っています。
そんな感じで二段の案を完成まで持っていきましたが、これが正解だったのかはわかりません。最初の思いつきを信じてこれで進めてしまいましたが、グッズやトレーラー、トランジションといった他の展開物だと使いづらく他に作った案が使われることが多かったので、KV単体では良くてもその後の展開性はあまり意識できなかったな…という反省があります。この辺りはシンプルに自分のデザイン力なので精進あるのみとしか言いようがないですね。とはいえ、没案をたくさん作ったことでそれが全体の雰囲気を理解する手掛かりになったり、映像に展開できたのは良かったと思います。
アイコンに関してはシンプルに汎用CG背景とグラデーションのシンボルを重ねて、左右に文字を置いています。


今回の名札もプラスチックですが、選手全員記名式ではなくなりました。さすがに大変すぎたっぽい。今までの篝火のプラスチック名札はシンボルとそこにテキストを添える形のシンプルなものが多かったと思いますが、今回はあえて情報量多めにしてみました。個人的にはカッコよくできたかなと思いますし、日付や場所が入っていることで思い出になる記念品的意味合いも強くできたかと思います。あとは、名前を書くところも印刷が可能だったので今回はここにPlayerとStaffという文字列を判別のために入れてみたり。
名札を自分で作ってみて感じたのは思ったよりも名札が小さいということですね。いざDay2進出ステッカーのデザインを作った後にイラレ上で仮配置をしてみると置く場所がなくて、ほぼ固定位置想定で作ることになってしまいました。まあ自分はそう思っていても、選手は思い思いの場所に貼るのでそれはそれで面白いんですけどね。また、最初はDay0に事前受付した人用のDay2 Checked-Inステッカーも作ったんですが、結局なくていいやということで発注することはありませんでした。
少し反省点を挙げるとするならば、印刷用のCMYKで作る上でデータで作ってたRGBを変換したのですがライトグレーの調整が難しくて思っていたよりも若干暗めになってしまったこと、あと罫線に0.25ptの線を用いていましたがちょっと細すぎたところくらいで、概ね満足しています。
Day2ステッカーに関しては、わかりやすくDay2進出したことが伝わるようにしています。マットなメタリック調のステッカーでなかなかいい雰囲気になったかなと。なお、この辺りからデススト2を始めてしまい生活がかなり終わり始めました。なんか忙しい時ほどゲームが捗ってしまい…デススト2はいいぞ。
今回はグッズを担当されているShiragiさんと自分それぞれ新しく作りたいものがあったので結構たくさん新規のグッズを作りました。Tシャツ・ネックストラップ・アーティストステッカー・ポスターが結構重めだったのですが、ちょうど入稿直前〜入稿の時期に僕がEVO Franceを見にニースに旅行に行っていて結構大変でした…忙しいときに旅行入れちゃダメですね。でも楽しかったので余裕を持ってスケジューリングできれば、といったところです。
これらは全てツッペさんにお願いしました。理由としては、今回ツッペさんは篝火神社のブースでも参加していたため、ちょうど良いボリュームのタスクになると思ったからです。とてもスムーズに、ほぼ直しなしで完成まで持っていってくれたのでとても助かりました。ワッペンとサコッシュは新規グッズですが、ロゴステッカーは以前のものから形態が変わっています。以前のステッカーが売り切れて新しく作る必要があった上、以前のものは台紙付きだったためスマホの背面など剥がす前の状態で飾りづらいという欠点があり、それぞれがダイカットになった方が良いという判断です。
Tシャツは自分が担当させていただいて、特に気に入っている制作物の一つです。最初はKVのCGと文字組みをそのまま使った形にしようと思っていましたが、フルカラーのプリントだとコストがかかってしまうこと、またTシャツとしてかっこいいもの、買いたくなるものを目指した方が良いものを作れそうだったのでよりビジュアルの良さに振ったデザインに変えていきました。具体的にはライブグッズ的な存在を目指しており、そういった系統のものでリサーチを最初に行いました。
AkabaneさんがKVCGをめちゃくちゃカッコよく2色に落とし込んでレンダリングしてくださったので、それと同じボリュームで大きくKagaribi 14を配置し、告知画像を意識した文字組みを並べています。CGはハーフトーンを使った結構細かいデザインだったのですが、いつもTシャツを発注しているJETCHOPさんがかなり綺麗に刷ってくれたのでありがたい限りです。
裏面の一番下はKV中に作ったモノグラムのボツを使い、表面は新しくKGRB→Kagaribiのモノグラムを作りました。最初は表面はシンボル+文字で考えていましたが、あえてシンボルを載せずとも篝火とわかって、尚且つ今回独自のかっこよさが出したいと思い作った形です。KGRBという文字列は4文字なうえどれもアシンメトリックでデザインが難しかったのですが、なんとかなりました。


Tシャツのもう一点のこだわりは生地です。以前『Tシャツの話をさせてください』というブログ記事を発見し、できれば普段着に使える生地感のTシャツを作りたいと思っていました。そのため、今回は印刷方法やTシャツの厚さそれぞれで見積もりを出し、Shiragiさんと相談しつつ今までの5.6オンスのものから7.1オンスのものにアップグレードしました。また、色も僕が白Tシャツの方が好きだったので同じ版を使う形で少量白Tシャツも作らせていただきました。やはり白。厚くなったのは評判良かったと思います。多分。
あとは表面を刺繍にしたいという要望もあったのですが、予算と締め切りの面でそれはできなかったのは申し訳ないところです。また、当日のフィードバックとして羽織ものを上に着るとせっかくのアートワークが見えないので、前面に大きめのアートワークを置きたいというのもあったので、次回はその方向で作りたいですね。
以前のネックストラップが売り切れになったので、どうせならデザインもリニューアルしようということで新しいデザインを作成しました。大まかな方向性や背景のハーフトーングラデーションをふぁーむくんが作ってくれて、自分は文字を置いて仕上げた形です。前回が赤と黒のリバーシブルだったので、今回は赤と白のリバーシブルにしつつ、赤の面は和文、白の面は欧文で雰囲気を変えています。こっそりと自分の書体を使ったりもしてしまっている。ハーフトーンの質感がよく出ていると思います。


今回特に自分が力を入れて携わったのがこのアーティストステッカーです。スマブラコミュニティでのデザインに携わるようになってから、思っていたよりも篝火をはじめとしたスマブラのコミュニティ大会を見てくださっているグラフィックデザイナーの方が多いことを知り、どうにかそういった方々を巻き込んで何か作れないかという思いがありました。
昨年のスマ納めでのグラフィティ展示とそのステッカー・Tシャツはそれを試してみた形で、維漣さんにグラフィティをお願いしました。そして今回は、レタリングが得意な大成さんやフタガミさんもいらっしゃることですしレタリングを主にしたステッカーのパックを作ることにして、ゲストとしてALYNCOOさん、Patiパチさん、Sonodaさんに制作をお願いさせていただきました。
自分はBurn It Yourselfのステッカーを作成し、入稿周りやゲストとのコミュニケーションを担当したのですが、正直この管理は受け持つべきではありませんでしたね…全体の統括や他の制作物がある中入稿で結構ごたついてしまって、旅行中にパソコンを開いたり本来使うつもりのなかった本業の時間を使ったりしてなんとか終わらせました。あとヘッダーも作ったのですがこっちも結構楽しかったです。我ながら自分のフォントがいい感じです。(画像は左上から右に、Patiパチさん、ALYNCOOさん、Akabaneさん、フタガミさん、僕、ふぁーむくん、Sonodaさん、大成さん)
今回ロゴステッカーの方ではStickerAppという印刷会社に発注し、アーティストステッカーでもお願いする予定でした。しかし、StickerAppさんに見積もりを依頼している過程で製造まで3週間ちょっとかかることがわかり、当初設定していた締め切りだと間に合わないことがわかりました。StickerAppは北欧の会社だったのでもしかしてフランスにいる僕が発注すれば間に合うのでは…という説があったのですが現実的ではなかったので取りやめにして、8人個別でグラフィック、デジタ、StickerAppに出し、袋詰めをDay0に行うことになりました。しかし、グラフィックとデジタもそれぞれで制約があり仕様の確認やその回避に奔走することに…とにかく大変でした。下の画像にまとめてあるので良かったら参考にしてください。あと、前日のステッカー500部の袋詰めもまあ大変でした。次回はStickerAppに頼みたいところです。
自分のステッカーは、他の制作物もあったのでレタリングではなく自分のフォントを使った文字組みで構成することにしました。最初はシンプルに右上の部分のみだったのですがそれだけだとしっくりこなかったのでもう少し様子を足していくことに。今年の夏にロンドンのブックフェアに行った際に買ったカセットテープのパッケージ集をみながら作ったら、架空のソフトウェアみたいな見た目になりました。「異世界のデジタル篝火というアプリケーション」みたいなイメージです。出来は悪くないと思いますが、左上の図の部分の線を細くしすぎて印刷にほとんど出なかったのが反省点ですね。白インクも刷っているのでもっとみやすい太さにするべきでした。
最後のグッズがポスターです。今回、Akabaneさんが作ってくださったくすのきホールのCGがめちゃくちゃ良かったのでポスターはなるべく作りたいと最初から決めていましたが、以前11の時にポスターを販売した時にはあまり芳しくなかったと聞き、今回はいくつか売れやすくなるよう工夫を行いました。
まず、ポスターはやはり潰れやすいのが最も懸念として挙げられるので販売用に段ボールの箱を用意しました。三角錐型で見た目にもかっこいいです。箱にも印刷できたら尚良かったのですがそれはコストに見合わなかったので、こっそり個人で篝火ガムテープを製作してそれで梱包&グラフィックとしました。正直かなり箱だけでも良い見た目になったのではないかなと。
そして、ポスターを多めに刷って会場の所々に貼りました。壁、柱、エレベーター、そしてL字スタンドで実況席の後ろに置いて配信に映るようにしたりとなるべく見る機会が増えるようにしています。特にエレベーターは反応が良くて嬉しかったです。貼ることを直前に決めたので養生で貼ることになり、ちょっと面倒だったのは改善点ですね。幕張ではもっとたくさん貼りたい。おかげで、販売用には40部用意していましたが全て売り切ることができました。
ポスター自体のデザインはKVからの展開やTシャツの図柄を使ったものなども考えましたが、最終的にはシンプルにKagaribiという文字列を大きく出したものに。やっぱわかりやすさが一番ですね。大きいサイズにしたかったのですが、B2やA1といった大サイズはオンデマンド印刷でもそこそこ値が張った為、A3サイズにしています(グラフィックだとチラシ扱いになりかなりコストが抑えられる)。


篝火来たぞ! pic.twitter.com/IlfHHNnSuL
— ALYNCOO / ありんこ (@ALYNCOO) November 3, 2025


まあいつものやつなので特に語ることが無いです。大文字だけで組むとまた少し印象が変わりますね。Rの形が難しい…
観戦者やゲスト用の名札は名刺サイズの紙製です。名札を入稿した後だったので、こちらのデザインはあまり苦労しなかった覚えがあります。ただ、「SPECTATOR GUEST」などの文字列を組むためのフォントが完成してなくて、同時並行でCompressed Thinを作ったりカーニングを設定しながら組んで行った覚えがあります。Day1名札を持った人がDay2に入れないよう受付で判別する必要があったため、背景や数字だけでなく名前部分の色を変えてDay1用およびDay2用を判別できるようにしています。実物もらい忘れたのはちょっと悲しい。



Day0にSquad Strikeをやることになり、関連のstart.ggバナー、アイコン、告知画像も必要になりました。ツッペさんがグッズの入稿が終わり手が空いていたので、自分は少しだけFBを入れるだけにしてお任せする形に。汎用CGの黒バージョンを用意してくださっていたおかげで、手軽にオルタナティブ感を出せて助かりましたね。


お品書きは単純なように見えて告知画像類の中では1, 2を争うほど作るのが大変なものの一つです。理由としてはグッズそれぞれの画像を拾い集め、ものによっては入稿データそのままを置けるわけではないのでそれぞれ書き出しを行わなければいけないこと、またグッズの数に合わせていい感じにグリッドを作らなければいけないこと。篝火のグッズはほとんどが黒と赤なので、背景も工夫して見やすくしなければいけません。また、データそのままだと見栄えが良くないグッズもあるので、カッコよく、より魅力的に見せる工夫も必要です。
特に最後の点は特に自分がよくしていきたいと前から考えていました。ネックストラップやTシャツはデザインをそのまま載せるとのっぺりしてしまいあまりリアルに感じられません。実物を撮影するのがベストですが、届くのは大会前日なのでそうもいきません。そのため、篝火13ではSqkurqさんにお願いして、CGでレンダリングしてもらったものを配置していました。今回も同様にSqkurqさんにTシャツ、そして新しくネックストラップをいんざばんぶーさんにお願いして、レンダリングしていただきました。Tシャツはグラフィックがしっかり見えるように平面に、そしてネックストラップはかけた時のイメージがわかりやすいように表裏で作ってもらい、かなりよくなったと思います。あと、販促ポイントも今回はしっかりと押し出すことにしました。こういうのはちゃんと見せていかないと伝わらないかなと。
おかげさまで、いい感じのお品書きができたと思います。テンプレートで組んでいたグリッドも生きましたね。強いていうならステッカーの見せ方が難しくて、もっとカッコよく並べられたかなとは思います。
今回、グラフィック班で動けるのか基本的に僕とふぁーむくんとツッペさんだけ、そして2人はブースや仕事などで全力を出し続けるのは難しいという状況でした。加えて前述の通り僕は引退を目指していたので、今後の篝火のことを考えても新しくグラフィックデザイナーに入ってもらった方が良さそうだと思い、Twitter上で募集して後藤拓磨さんに入っていただきました。入ってすぐざっと篝火のデザインの進め方を説明させていただいて、上記の二点をお願いしたのですが手早く正確に進めていただき、めちゃくちゃ助かりました。しかもまだ大学1年生らしい。将来有望すぎる。FBを出した後、ほぼ毎日直して進捗を出してくれたのが特に助かりました。ステージルールと大会スケジュールはほとんど毎回フォーマットが同じで、毎回のデザインに雰囲気を合わせていく作業が主となるので、篝火デザインの入門には最適なんですよね。次回以降の活躍も楽しみです。


こちらはツッペさんにお願いしました。フォーマットは前回あたりに作っていて、それのフォントと色、ブース、対戦台を変えるだけなので特に言うことが無いです。しっかり仕上げてもらって助かりました。縦組をFigma上でやるために毎文字改行するというやつをやっているので、公式で早く対応してくれないかな…


今回特に作って良かったものの1つです。当日のグッズ注文をオーダーシートを使って行いたいとShiragiさんから打診を受け、お品書き+オーダーシートを作ることになったのですが、それだと半面が余るので会場図とスケジュールも載せることに。結果として、大会全体のリーフレットのようなものになりました。最初はふぁーむくんにお願いしていましたが、後述するTop8映像のカウントダウンの作業もありそちらに時間をかけて欲しかったので、途中から自分が担当して完成まで持っていきました。納期の関係もあり10.26中に完成させる必要があったのですが、その日は僕がフランスから香港経由で日本に向かって発つ日で、出発日の前日より3時半くらいまでやって終わらせた記憶があります。あれは大変でした…入稿作業をふぁーむくんにお願いしていましたが、背景の画像の解像度が足りず差し替えが必要だったり、会場図の修正が必要だったりといった作業があり、飛行機の繋がったり繋がらなかったりするWi-Fiから見守っていたのもいい思い出です。いや、良くはないな。


まずはお品書きのデザインから進めていきました。こちらは告知画像と近いグリッドを組み、面積比が近くなる形でレイアウトし並べています。販促ポイント部分の文字が背景と若干ずれているのはアウトライン前にアピアランスの分割をし忘れたミスです。悔いが残る…左側のオーダーシート部分は特に語ることはないですね。常識的なところですが、価格を等幅数字にしてることくらいでしょうか。でもこういうのって1の位で揃えた方がいいのかな…余裕がなくてそこまでいけず。
次に表面の会場図とタイムスケジュール。最初はそのまま告知画像のものを持ってくれば良いかと思っていましたが、会場図が思っていたよりも大きくなってしまいタイムスケジュールに関しては組み直しが必要でした。こちらは裏面のお品書きとは別のグリッドを組んでいます。
会場図はブースや対戦台の番号など、小さい文字が含まれるためなるべく大きくおかなければいけません。できればどの文字も4ptくらいは確保したいですね。今回はFigmaを全てアウトラインしたものをsvgで書き出したらなんとか持ってくることができました。
スケジュールは縦方向に組むのは難しかったため横方向にしています。縦組と横組が入り混じる形にはなりましたがなんとか。開始時間・終了時間はかなり小さくなりましたが来場者層は若いし読める範囲かなと判断。リンク集のQRコードはDay2のスケジュールの内容量がDay1より少なかったこと、また3つ折りの状態で背面に来て欲しかったので、開いた時の見栄えはあまりよくありませんが中央のページに記載しています。


最後の後回しにしていた表紙を組みました。最初は横方向に文字を組もうと思っていましたが、どうしても縦長の版面なのでインパクトが出ません。CGがかなり良いし、表紙だけで完結してカッコよく見えた方がいいだろうと思い、あえてCGは縦、文字は横に組んでみたらいい感じになったのでそれを採用しました。結果的にリーフレットが会場に置かれているところもいい感じの見た目になったので良かったなと。Kagaribiの「Kag」の左下に漢字篝火を置くのは今回かなり使っていますね。オールキャップスのKAGARIBI表記ならばもう少し組みやすくなるのですが、個人的には小文字が入っていた方がテクスチャが好みだったので今回は主にKagaribi表記を使っています。ただ、僕のフォントのlやiなどの高さ(アセンダー)が大文字の高さ(キャップハイト)より高めに設定しているために、K基準で上の要素との距離を決めるとiやbの部分で余白が窮屈になるという問題もありちょっと大変でした。細かいところではありますが。
結果としてはかなり良いものができたと思います。課題としては、最初あくまでお品書きとして作っていたので参加者どころか篝火スタッフ内でもあまり認知されていなかったのであまり配れなかったことがあります。作るのが結構大変ではありますが、次回はちゃんと全体のリーフレットとして作りたいところです。あと、せっかく表紙がカッコよくできたのにグッズを注文するためには表紙を切り離して渡さなければいけないところですかね…笑。自分の分を10部くらい確保しておけば良かったのに何故か1部しかもらっていなかったのをちょっと後悔しています。


篝火14ではフリー対戦ができる別会場を用意しており、それの告知や会場のビルで提示するサイネージ、またフリー対戦の時間を管理するタイマーが必要でした。これらはスケジュールを載せていることもあり、ステージルールなどが終わったタイミングだったので後藤くんに引き続きお願いすることにしました。
ggのバナーとアイコンはDay0で作ったものをほぼそのまま使ってもらっています。サイネージは名札の組に近いものを採用しつつ、メインの文字を大きく縦組みで組んでもらい、いい感じになったかなと。
タイマーは会場のプロジェクターで映すもので、最初映像想定でしたが自分がリセットやスタート・ストップができるWebの形式を提案。ke-goさんに予備で映像を作っていただきつつ、日本に行く前の香港旅行中にWebで組み上げました。とはいえGPTに組んでもらったもののCSSを多少手直しした程度ですが、うまく動いたようで良かったです。


この辺りから前日準備・当日の制作物になっていきます。印刷物やグッズは締切があるものが大半ですが、配信関係はとりあえず配信開始に間に合えばいいのでだいぶ心持ちが楽ですね。もちろん配信の方々の準備の時間は必要なものの、EGSや無明遊者の方々とはもう何度も配信をやってきているので、フロー的にもだいぶ慣れていてスムーズにやり取りが行えていると思います。
スコアボードなどの基本的な配信アセットは前回に引き続きke-goさんにお願いしました。篝火13ではRiveというアプリケーションでアセットを制作しましたが、今回は前回主導してくださっていたwawonさんが参加できなかったため、簡易的な手段としてBraceBracketにしています。ke-goさんにデザインの案を出していただき、僕の方でFBをお願いする形でスコアボード自体は1週間前にはデザインが完成していました。今回は色々な制作物があり僕の方で実装するのは難しかったので、実装はBraceBracketの開発を一緒に行っているとーふとふさんにお願いして、自分が最後の確認とちょっとした修正のみで完成させることができました。とはいえ、ちょっと僕が終盤忙しすぎて多方面の案を検討できず、かなりベーシックなものに落ち着いてしまったのは今後の頑張りどころだと思っています。海外の大会の、特にフランスのものとかはスコアボードがかなり凝っているので、そういうのを作りたいんですが、大会直前に制作物が固まってしまう以上なかなか力を入れられず…難しいですね。



サムネイルはDay0とDay1中にそれぞれ作りました。Day1はKVの没案から拾ってきて、Day2は新しく作ったものですが…こちらもかけられる時間があまりなかったので、悪くは無いけどいろんな案の検討はできていなかったのが今後の頑張りどころですね。サムネイルって本当に難しくて、今まであんまり会心のサムネを作れたことってない気がします。会心のサムネってなんだろう。


トランジションは今回から新しく入ってくださったハジメさんに作っていただきました。AkameさんにFBをもらいつつ、短尺ながらKVのCGと僕のボツの文字組を使っていい感じにしてもらえました。短尺がゆえに奥が深くて難しそうですよね…
篝火14のトランジションでモーションを担当しました!
— Hajime (@flapeco_motion) November 3, 2025
尊敬する方々とご一緒できて、本当に感無量です。
大会を盛り上げたい一心で制作しましたが、あの決勝の熱気は一生忘れません!#篝火スマブラ https://t.co/FK9SPySTD0 pic.twitter.com/oUOu0d20d3
前回、3Dの名札とVIPパスのCGに関してツイートがあったので、今回もAkabaneさんに作っていただくことにしました。Akabaneさん曰く仕事では試せないような大胆なライティングやシェーディングができて面白いとのこと。かなり強めに光沢や陰が入るのが面白いですし、それによって名前部分のシルク(梨地)加工もわかりやすくなっているのがいいですね。シンプルにAkabaneさんのCGの質の高さを感じます。
【篝火#14 PLAYER PASS】
— 篝火 KAGARIBI (@KAGARIBI_smash) November 1, 2025
今大会の名札をご紹介いたします。
選手の方の入場証としても機能するため、会場内では試合中を除き着用をお願いします。
更に、TOP 192に進出した選手の方の名札に、ささやかながらその証明を贈らせていただきます。 pic.twitter.com/H2Mg2nUIX7
Day0の準備日にグッズの撮影をさきょうさんにお願いしました。Tシャツなどアパレルがあるので誰かしらモデルが必要なのですが、何回か前の篝火でおすしっくすさんがモデルになっていてそれが良かったので今回モデルの1人に立候補させていただきました。身長は低いですがまあ多様性ということで。もう1人はVGBCのストライズさんです。以前から相互フォローではあったけど話したことはなかったので今回話せて嬉しかったですね。写真写りもさきょうさんにかなり良い感じに撮ってもらって、悪くないんじゃないでしょうか。ブレスレットの位置がずれているのだけが気になるのでその時気づいていれば良かった…今回の記事で使っている実写写真類は全てさきょうさんが撮影されたものを使わせていただいています。


これらは当日必要な細々とした制作物類です。自分は配信先情報を当日作ったり、Switch設置表のレイアウトだけしたりしています。サインの方の印刷物はふぁーむくんやツッペさんが対応してくれて、自分は一回チェックしただけで済みました。ありがたい。Switch設置表は当日まで情報が降りてこないのでギリギリに制作になってしまい難しいところです。制作環境はFigmaですし、こっちレイアウトだけ組んでおいて名前入れは担当部署の方に任せる方がいいのでは、というのが今回の反省点でしょうか。

篝火の目玉といえばやはりこのオープニング映像ですね。今回はAkabaneさんがコンテを組んでCG部分を作り、くらんそさんが撮影と編集を担当されているのですが、やはりくらんそさんのスマブラ内撮影は別格だと毎度感じさせられます。モーションの切り取り、抑揚、寄り引きが最高すぎます。クレジットの組みはふぁーむくんが担当してくれていますが、自分も関わりたかったですね。全体的に映像に関しては自分がグラフィックデザインで関わることができなかったので、全体的にその点は後悔が残っています。映像ガッツリやりたかった…香港旅行してる場合ではなかった…
Day2オープニングは今回もかるぴすさん作、アップテンポな曲で勝者側の通過者が流れていくのはかるぴすさんのお家芸、味ですね。いつも通り抜けが決まってからDay1の夜に作り切るという限界制作で凄まじいです。個人的には、自分の文字組みをそのままではなく、独自に解釈して展開して使っていただけて嬉しかったです。Affinity無料化に伴って制作環境も進化するとかしないとか…お体に気をつけていただきつつ次また観れるのが楽しみなところです。
こちらも目玉。前回に引き続き、カウントダウンをりくるとくん、その後のアタック映像をAkameさんの制作です。今回、カウントダウンの5–1を僕(3&Ready Two Fight)、大成さん(1&5)、ふぁーむくん(2&4)で担当しています。自分は結構勢いでガガっとラフを描いたものをそのままパスに起こしました。碑文的なニュアンスもありつつガッツリコントラストをつける感じで。上段は上、下段は下に太いストロークを持ってくるように作ろうと思ったのですが、それは難しいというかわかりづらい結果にはなってしまったかもしれません。ふぁーむくんの文字は大成さんがたくさんFBしてくれて、3人ともいいものが作れたと思いますし、それをうまくりくるとくんが動かしてくれて、また今回現地で反応を見れてとても嬉しかったです。カウントダウンの数字は等幅であって欲しかったのですが、AfterEffectsがOpenType機能をあまり有効に使えないとのことで等幅数字や篝火14で採用しているStylistic
Setsをデフォルトにしたフォントを渡して作ってもらいました。そういった使って欲しいOT機能をデフォルトにして渡しておくのは今後も大事だなと思いつつ、それくらいAfterEffectsさん対応してくださいという気持ちもあります。
その後のアタック映像はかなりギリギリの制作に見えましたが、ke-goさんがスマブラ内撮影、フタガミさんがグラフィックを手伝ってくださり、Akameさんの味のある勢いのあるモーションが見れる形に仕上がりました。自分はTop8のキメの画像をつくらせてもらいました。Day1中に作る形になって申し訳ない…あと、自分の書体がCompressedだとまだあんまり映える感じがしないのでもう少し手を入れていきたいです。映像中ではバリアブルフォントとして動いていていい感じでした。
こちらもにんじんざむらいさんのお家芸ですね。大会中ずっとカメラを持って撮影してまわっていて、ふぁーむくんがクレジットを作ってそれを合わせて、当日のGFの様子まで入ったものが当日流れるという、毎度のことありえない時空の歪みみたいなものが起こってるなと感じます。映像班、職人が多すぎる。
そして、次回の篝火15の告知はSqkurqさんが担当してくれています。短尺でシンプルに情報を伝える動画でありつつも、航空写真でくすのきホールから幕張に移る見せ方は流石というか、最高でしたね。次回はどうなってしまうのか…
映像が流れるといや〜終わったな〜という気持ちになりますが、リザルトが残っています。今回はキャラクター画像ではなくプレイヤーの写真にしようということで、Top8が決まった段階でさきょうさんにプレイヤーの写真を撮っていただきました。ふぁーむくん担当でしたがハイライトのクレジット作成が忙しそうだったので自分が引き継ぐ形に。写真の切り抜きはツッペさんに手伝ってもらいました。
リザルト自体は以前とレイアウトも大きく変わらないですし、慣れた作業ではあります。WSFをやっているあたりで切り抜きとLightroomでの調整、フィルター剪定を行い、LSF, LFあたりからプレイヤーを入れていきました。正直Top8はあんまり見れてないです…まあ、誰かがやらなければいけない作業なので仕方ないですが。前回からプレイヤーの名前部分はコンポーネント化しており、今回もそれを引き継ぎ調整する形で作っていきましたが、問題なく組めたかなと。罫線の量がすごいな。
真に忘れがちな制作物が大会後の動画サムネイルですね。次の日からTop8の試合を挙げていくとのことだったので、月曜日の日中に制作を進めました。昼に何も予定を入れてなかったのが幸いしました。Top8はリザルトの写真を使い、Top8以前は配信中のクリップ+上に文字情報という形で構成しています。最初はGrand Finalsなどのラウンドが選手よりも前面に来ていましたが、タイトルにもありますし選手第一の方が良いだろうということで後々裏に回しました。結構動画のサムネイルを作るのは好きです。


大会が終わってから2週間弱、実家に戻ってゆっくりしていたところさきょうさんが大会写真をアップロードする際に正方形のハイライトを添付し、そこにフレームを載せたいとのことで制作させていただきました。実は篝火はグッズなどで要素を増やそうとしても結構置けるものが少なくて苦労しがちなのですが、今回はキャッチコピーとかモノグラムとかをやたら作っていたのでいい感じになりました。点対称な形に罫線を引いて色々置く感じで。カッコよくできたし何より写真が良い。自分の写真もちょっとだけあって嬉しかった一方、疲れが肌のコンディションに出てたのでケアをしていきたいです。本当大会カメラマンの方々は尊敬です。
🔥篝火#14(@KAGARIBI_smash )にて撮影した写真を公開いたします!
— さきょう/ sakyo (@sakyooooou) November 13, 2025
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✅篝火および人物の品位を傷つける内容を除き、再掲示・二次利用が可能です。
✅写真の削除依頼はDMで承ります。
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制作物は以上です。約三ヶ月間、なんとか走り切ることができました。また、今回は篝火11ぶりに現地に行くことができて、来場者の方々、スタッフの皆さん、デザインチームのみんなに会ったり話したり、グッズや映像を現地で見ることができてかなり改めてやりがいを感じたというか、完全に満たされました。というか、満たされすぎてしまってもうやりたいことがないとも言えます。やっぱ現地に行ってこそですね…今まで現地に行かずに制作を続けていたのが変といえば変なのですが。
前回からの改善点や下準備と重なるところもありますが、いくつかよくできて点を考えてみました。
どちらかと後者が重要です。カンバンでタスク管理をすることで見やすくなったのももちろんよかったのですが、タスクの期日の7日前/3日前/前日/当日にDiscord上でリマインドしてくれることで、自分が能動的に見に行く必要がなくなり、締め切りまでの感覚を保っておくことができました。また、進捗を聞くのは割と精神的なコストの高い作業なのですが、Botが自動でリマインドしてくれるのでそこを軽減できたのもありがたいポイントでした。終わった後アップデートも行ったので、篝火 15でも活躍してくれることでしょう。
前回はグッズの制作に関しては受動的な制作でしたが、今回はアーティストステッカーやポスターといった自分から作りたいものを提案したり、Tシャツの生地を厚くするといった交渉を能動的に行いました。もちろん、一方的に作りたいものを押し付けるのではなく、見積もりを出しつつ許す予算とのバランスを見て、より良いグッズの制作ができたのではないかと思います。これは改善点のスタッフと仲良くすることが生きた形ですね。何を当たり前のことを…と思うかもしれませんが、やはり制作ってコミュニケーションだなと思います。そして、実際作ったTシャツ、ポスター、ステッカーもかなりいいものができました。
シンプルに、紙の印刷物として残るものを作ったことは反応が良かったと思います。今回は初回なのもあってワークフローが整っておらず、時間がかかってしまいましたが、次回以降は今回ある程度フォーマットを固められたのでよりスムーズに、より良いものが作れるはずです。そして何より次回は幕張。コンテンツを充実させつつ、記念になる良いものを作りたいところです。
改善点をいざ述べようと思いましたが、正直あまりないかもしれません。スマ納めや篝火13の時にあった改善点はしっかりとその名の通り改善し、解決できました。個別の制作物で述べている細かい改善事項はあるものの、大きな部分の進め方といった点では本当に不満がありませんでした。とはいえ反省点は何もありませんでした!というのもアレなのでいくつか考えてみましょう。
篝火は毎回ルック、デザインが異なる稀有な大会です。そして、毎回のデザインの雰囲気やルールをどのように共有するかというのは、スマ納めの時もあった課題でした。色やフォントといったベーシックな部分ならば、FigmaのVariablesやコンポーネントといった機能で解決することもできますが、ことあしらいや自由演技的な部分が求められるグラフィックは結局どれくらいバイブスが合わせられるか、みたいな話になってきます。デザインルールやガイドラインを作るというのも手ですが、2ヶ月程度のプロジェクトにルールをわざわざ用意するのも少し大仰になってしまいますし。
僕が今回出した結論としては、シンプルに同じメンバーと長く一緒にやっていくことでつながりを強めていくこと。そしてFBやちょっとした指示をお願いする際にも、なるべく文章よりも通話で伝えていくこと。そして、最終的にアートディレクターが責任を持って回収することかなと思っています。
今回は通話が基本的に定例のみとなったのですが、テキストは残るという利点がある一方どうしても会話よりも情報量が削がれる上一方的になってしまうため、より細かい通話を増やしていった方がずっとうまくいくと思います。よくよく考えれば自分がオンスクで働いてた時は有馬さんが頻繁に通話で指示やフィードバックをくださったんですがこれだったのだと今更理解しました。
そして、結局コミュニケーションやデザインルールの理解も限界があるため、どこまで自分の理想に合わせるか、それともデザイナーのものの個性を受け入れるかといった判断もアートディレクターの責任だといえます。ロボットのように逐一指示して理想通りにするのではなく、最終的には自分が決め手を動かしていくことも結局必要なのだと感じています。
これはシンプルな話になりますが、僕のデザインの実力不足というところです。まず、KVの製作中、自分は幾つか多方面に案を作ったにも関わらず、結局最初に思いついた案に固執してしまいました。理由としてはいろいろあります。最初の思いつきを信じすぎてしまったというのもありますが、キャッチコピーが存在すること、そしてレタリングを大成さんにいただいたことで、どれも重要に扱わなければ…と思い込んでしまい、サイズの大小やコントラストをつけることに躊躇してしまったのも要因の一つです。結果的にできたKV自体は気に入ってますが、展開性が低く他の制作物に転用されることはほとんどありませんでした。start.ggのバナーだけでなく、今後の展開を想像できなかったことはリードデザイナーとしてまだまだだなと感じます。
あとはそれぞれのデザインも自分の手癖が強いものになってしまったり、モノグラムをいろいろ作ったものの正直あまり使いやすいものではなかったり…もっと上手くできるなと反省することは多いです。精進あるのみですね。
振り返りはこんなところでしょうか。昨年のスマ納めの時は、「頑張ったけどまだまだよくできるところがたくさんある!書き留めておきたい!」というモチベーションで記事を書き始めましたが、篝火14に関してはただただ「やりきったな」という気持ちで、あまり反省することがありませんでした。良かったら自分もデザインチームも励みになりますので、ぜひご感想などいただけたら幸いです。
僕の今後のスマブラコミュニティでの活動に関しては正直わかりません。篝火15の準備はスタートしていますが自分が今回は統括からは降りていますし、年末に控えているスマ納めや来年のDelta×西武撃も基本見守るのみにしています。その分、本業の書体デザインをリテイル・カスタムともに頑張っていきたいですし、Podcastを頑張ったり個人でも何か作っていきたいと思います。
篝火14の前後、帰省している間にいろんな人、デザイナーさんに会って、「安藤さんってグラフィックデザインもできますね」といってもらえることが何回かありました。自分はグラフィックデザインの実力がまだまだだなと感じていたので嬉しかった一方で、グラフィックデザイン「も」という言い回しで、そうか、自分はもうグラフィックデザイナーではなくてタイプデザイナーとして認識されつつあるのだなと実感して、嬉しいような寂しいような気持ちがありました。
確かに自分が日本デザインセンターに勤めてグラフィックの仕事をしていたのももう4, 5年前の話ですし、その後の大学院留学中、パリのファウンダリに勤めている間は個人の制作もほとんどしていなかったり、出していなかったりでアウトプットがほとんどありませんでした。そんな中スマブラコミュニティでの制作に関しては細々と続けていて、グラフィックデザイナーの方々とお話しすると結構それをみてくれている人やスマブラの制作やってるよね、と話に出してくれる人も多くて。ああ、スマブラがかろうじて自分をグラフィックデザインとエンターテイメントを繋いでくれていたんだなと感じました。
昨今では、グラフィックデザイナーさんに自分の書体を使っていただいたり、独立後新規にカスタム書体の話をいただいたり、そしてスマブラコミュニティでの制作に自分の書体を使ったりと少しずつ自分の職能を通じてグラフィックデザインと繋がることができてきていると思います。なので、今後は一旦自分の専門性に集中したいと考えています。
改めて、スマブラコミュニティという若い世代が中心で、モチベーション中心の場所だからこそ、普段業務ではできないような自由な制作や、ディレクションやマネジメントというロールを経験することができました。スマブラ、そしてスマブラコミュニティに感謝を。ここまで読んでいただきありがとうございます。篝火14、2025年、お疲れ様でした。良いクリスマスと年越しをお迎えください。


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