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2024年の振り返り、買ったもの、なんかいい感じだった

2024年の振り返り

こんにちは。つい先日長文の記事を投稿したところだが、いつの間にやら年末。今年も振り返っていきたいと思う。表題の通り、今年は動きがいい一年であり、まあまあよく頑張ったんじゃないか、という一年だった。

P.S. 案の定めちゃくちゃ長くなってめちゃくちゃ遅れてしまいました。ベストバイや今年の自省を読みたい方はこちらのリンクで該当箇所まで移動できます。

2024やりたいことリスト

今年の年初めに書いたやりたいことリストを振り返ってみる。

  • フランス国内かヨーロッパで旅行
  • フランス語をちゃんと勉強する
  • Koga Sans Modernの完成
  • グロテスクの書体を作りはじめたい
  • 買った本を2週間以内に読む
  • 散歩する
  • ポートフォリオサイトを作り直す
  • イギリス記を書き切る
  • パリのお気に入りお店リストを作る
  • 貯金する
  • スマブラの活動を続ける
  • 貯金する
  • 積みゲーの消化

旅行に関しては10月末から11月頭にイギリスとジブラルタルに旅行に行ったので達成と言える。途中もう一回フランス内で旅行とかもいきたいところだったが、5月末に一回日本に帰省したので仕方ないかな。来年はすでにオランダのハーグに行くことを決めている他、スイスに行きたいと思っている。あとATypIがデンマークにあるのでそれも行きたい。まあ行く分には破産しない限りいいでしょう。 フランス語の勉強は、まあ継続できてはいないけど移民局の義務フランス語教室を50時間通ったのは偉いと思う。しかも、本来100時間のコースを中間テストの合格で半分で切り上げられたのはよかった。買い物とかはあまり不便はしなくなっているが、会話は全然できないので来年はもう少し本格的に勉強したい。
Koga Sans Modernの完成、グロテスク書体を作り始めるに関しては全く…今年は個人で書体を全然作らない年だった。会社で毎日書体に触れているし、引っ越しなど忙しいことが多かったのでまあ仕方ないかなとは思うけれど。グロテスク書体は3月くらいに作り始めてはいたけどそこから進んでない。来年はやりたいっすねー。
買った本を2週間以内に読む…これに関しては半々くらいか。買った本はちゃんと開くようにしていたし、貯めてたIDEAもちょっと読んでいた。とはいえ全然積読は解消できてないので、もう少し本読む習慣を作りたい。
散歩はちょっとだけした。冬場はきついけど、夏場は住んでるところの近くのルクセンブール公園とか散歩にちょうどいいのでご飯食べたりしたい気持ち。あと運動しないとまずい。
ポートフォリオサイトは作り直せていない。とはいえ墨とPathでAstroはだいぶ慣れてきたし、ちゃんとグラフィック関連の仕事も出したいなーという気持ちがあるので、来年こそは。
イギリス記に関しては、来年2月のコミティアで出すことを決めているので、そこまでに書き切るつもり。多少は書き足したけど思ったより時間がかかる。どこかで時間を思いっきり使わないとまずそう。
パリでの店リストは徐々にできつつある。Google Mapsに同僚に教えてもらったお店とか、日本人の知り合いに教えてもらったお店とか、調べて見つけたお店とかを追加している。最近は近所のイタリアンと15分くらい歩いたところのとんかつの店がお気に入り。とんかつ美味しすぎる。
貯金は全くしてない。でも今年を過ごしているうちに、20代は貯金しなくていいやみたいな気持ちになってきてもいる。来年は軽く投資くらい始めてみてもいいかとは思っているけど、どっちかというと今は趣味や旅行に使いたい気持ち。
今年はかなりゲームをプレイできた年だったと思う。積みゲーとしてはエルデンリングをクリアまでやったのはかなり偉い。DLCをクリアする前にメタファーを始めてしまったのでDLCはまだ終わっていないので、これは来年終わらせたい。とはいえ正直最近は何を積んでいたかすら忘れつつある。

今年はハードルをかなり下げていたこともあって達成率は結構いい。11月ごろに読んだ本で結構考え方が変わったというか、もっと今を自由に生きていいなと思っているので、来年は色々活動的な目標を立てたいところ。

1月

正直あんまり1月のことは覚えてない。2023年の正月はイギリスで過ごしたので久々の実家での正月をゆっくり過ごした。年賀状も送れて、色々と反応をもらえたのが嬉しかった。あと、弟が成人式だったのでそれで成長を実感したり。昨年受けたGLOBIS Serifの納品がやや遅れ気味だったので、正月ながらカーニングなどの作業もしていた気がする。
誕生日を迎えて26になった。26ってなんか、もう大人だなーという感触。確実に30に近づいてきているし、年齢に見合った態度、実力をつけられているだろうかとたまに考える。とはいえ今年は働き始められたのでよかったですね。
誕生日のあたりに納品を済ませて、今の会社への就職が決まっていたので、東京に色々な展示と、卒制を見に行きつつお世話になった方々に挨拶をしに行った。挨拶はしたことがなかったけれどご飯はご一緒したことがなかった人とカレーを食べたり、髪を切ったり、服を買ったり、gggの大原大次郎展と神田PORTの大原大次郎+菊池敦己を見に行ったり。夜にはキスケさん石川さんという変わったメンバーでご飯をいただいたけれど、あまり飲んだことがなかった日本酒と馬刺しが美味しかった。かなり酔ったけど楽しかった。

中目黒で食べたカレー。二種類がけ。日本のカレーは美味しい 銀座gggの大原大次郎展 代々木で石川さんとキスケさんと食べた馬刺し

その日はホテルをとっていたのでゆっくり休んだあと、次の日は武蔵美の卒制展へ。本当は友達と行く予定だったのだが、体調を崩してしまったため一人になった。昨年で自分の直接の後輩はみんな卒業してしまったので、完全に自分が知らない学生の展示だったけれど、逆にフラットにみることができよかったと思う。白井先生が軽く案内してくださり、今年の書体制作の卒制の多さに驚いた。和文もあったし、卒制ならではの軸で制作されている上クオリティの高い書体もあり自分も頑張らなければと感じさせられる。

武蔵美の卒制展でみた和文の作品

2日間の東京旅行から帰ったのち、フランスの労働許可証が出るまでの間に週の半分という形で今の会社とのフリーランス契約が始まった。そこから1月はフリーランスワークと自分のポートフォリオサイトの作り直しを並行していたのだが、Astroが扱いきれなかったのと、サイト用の書体にいいものがなくてグロテスクを作り始めてしまったのでそのままポートフォリオサイトは中断してしまった。

この月の後半には『筑紫書体と藤田重信』 『明朝体の教室』を買って、仕事にも関連してくるので明朝体の教室をすぐ読み始めたのだが、この本は本当に凄まじいと思う。鳥海さんの文字塾、明朝体の教室、数々の講演といった構成に手法や考え方を伝える行為には枚挙に遑がないが、明朝体の教室という数年にわたるセミナーをオーガナイズしなおし、整理し、ある種明朝体制作の教科書のレベルまで作り上げており、今後のスタンダードになると思う。一方で、こういった活動を積極的にしているのは現状ほとんど鳥海先生のみなので、他の人のものも見てみたい。人には人の明朝体の骨格があると思う。

あとは後述するが発売を楽しみにしていた鉄拳8を買ってプレイし始めたり、8BitDo Microを買って新しいカーニング用コントローラーをセッティングしたり。8BitDo Microは今まで使っていたコントローラーと違ってMacにキーボードとして認識されるので、Joystick MapperとかではなくKarabinerでカスタマイズした。KarabinerはGUIではなくjsonでの設定なので最初はとっつきにくかったが、わかると動作が明快かつ軽快で良い。一度沼にハマってなかなかうまく動かなかったが、設定一つずつにdevice_ifのfromとtoが必要だと分かってからはスムーズに設定できた。Karabinerを使うとアプリケーションで使い分けもできるので、音声編集などにショートカットを組んでみるのも面白いかもしれない。設定の詳細はLT会のアーカイブに残っているので、そちらを参照してほしい。

1月の最後にはまた東京に行くのだが、これはほぼ2月なので2月の項で述べたいと思う。1月はこんな感じだったけど、今振り返ると労働許可証を待ちつつも充実していた。

2月

1/31からまた東京に5日間。さまざまな人に渡仏前の挨拶をしたのだが、今カレンダーを見てみると昼と夜にそれぞれ予定を入れて、その間に展示を見るというスケジュールをこなしていて凄まじい。この日は到着後何をしたかあまり覚えていないのだが、夕方には中野のRed Bull Gaming Sphereのスマパ!に行って、何かとお世話になっているEGSの方々に挨拶と、その時デザインをお手伝いさせていただいていたパーカーの相談をした。スマパ!自体は早々に抜けて荻窪のあたりで関口さんとサシで食事を。関口さんとお話しするといつも自分の視野が広がる感じがするし、自分の等身大を見てもらえるというか、会話した内容が心の支えになってくれる。

荻窪にて関口さんと食べた食事

2/1は夜しか用事を入れていなかったので、日中はゆっくり展示を見ていた。たまたまやっていた藝大の卒展を覗いたらSNSで話題になっていたケモっぽい着ぐるみに人だかりができていた。やはり藝大の作品は造形のクオリティが数段上だと感じる。藝大の卒展を見たら一緒にやっている書道展を見るのが恒例になっているのだが、大人の作品が上手いのはもちろん、小学生の作品でもめちゃくちゃバランスのいい文字があってびっくりする。書道空間、落ち着くのでおすすめです。
そのあとは鴨to葱のラーメンをいただいたあと、東京国立博物館の『本阿弥光悦の大宇宙』を見た。写真は撮ってないのだが、嵯峨本はもちろん他の作品まで、あまりにマルチタレントすぎて自分の知らない面を色々と見れて面白かった。こうしてあまり思い出せないことを考えると図録は買っておくべきだったか。
その日の夜はなめサンbokoさんとなかなかいいお値段のすき焼きをいただいた。風の強い日だったことを覚えている。お肉が乗ったメロンやユッケから、すき焼きそのものまで溶けるようで絶品だった。かまぼこさんは年齢が近いこともあるし、ツイートを見てるとたまに近しい悩みというか、考えをしていることがあって(烏滸がましいと思いつつ)勝手に親近感がある。今後も付き合いが続けられたら嬉しい。

芸大の展示。Twitterで話題になっていた展示に人が集まっていた 藝大の展示と一緒に行われていた書道展 なめサン、bokoさんと食べて良いすき焼き

次の日、2/2のお昼は大学の後輩である小原くんとカレーを食べて、そのままBALCOLONY.さんに伺って、卒制の文献にさせていただいたこともあり染谷さん竹内さん、キスケさんとイギリス留学のことや論文のことをお話しさせていただいた。自分はサブカルチャー、オタク的な文化をあまり通らずに界隈に入ってしまった感じがあるので、論文で表面上ではあるが勉強できたのはよかった。いずれ書体デザイナーとしてお仕事ができるように頑張りたい。
その後、カフェで休んだあと夕方は青山ブックセンターで久々のTypeTalks。鳥海さんの明朝体の教室の出版記念トークで、鳥海さんへの挨拶はもちろん、山田さんなどとも挨拶できてよかった。そのあと大成さんと僕の友人のゆうた、大成さんのお友達の清水さん&北原さんと食事の予約があったので長居はできなかったが、この界隈のイベント特有のメンバーが集まっていたのはやはり安心感がある。その後の食事も、先輩の空気感やいつもは見られない大成さんの顔が面白かった。

小原くんと食べた青山のインドカレー

2/3は引っ越した大学の友人に会いに吉祥寺へ。異様な牛カツ欲があったので牛カツを食べたあと、友人の新居を見に行った。その友人は家具のセンスがいい。めちゃくちゃ丁寧な生活って感じじゃないのに小綺麗で広々として見えるのが羨ましい。
その後、TypeProjectで欧文書体デザイナーとして活躍されていて、武蔵美とレディングの先輩でもある吉富さんと国分寺でお茶をする予定だったのだが、時間が空いてしまったのでGoogle Mapsで見つけたいい感じのカフェに。この後に甘味をいただく予定だったのにプリンとカフェオレを食べてしまった。美味しかった。吉富さんには僕が武蔵美に在学している間にレディングのことを色々質問させていただいたので、改めて在学中のことや新しいお仕事のことを喋った。日本人レディング卒業生は数えるほどしかいないので貴重な繋がりだ。
夜は代官山で宮崎さんレクさん と串揚げをいただいた。(自分でお誘いしておいてアレだが)お二人が同世代なので、自分は話が盛り上がっているのを主に聴いている形だったが、昨今のMOBA系統のゲームの盛り上がりや昔のことをたくさん聞けて面白かった。串揚げも美味しかったのでパクパク食べていたらなかなかのお値段になってしまったことを覚えている。

国分寺で入ったカフェのカフェオレとプリン。最近クオリティの高いプリンが多い 代官山でレクさん、宮崎さんと食べた串揚げ

最終日。猛烈に寿司が食べたかったので、大学の友人二人とくら寿司でたらふく食べてから、いい服を買おうということで原宿、表参道辺りを歩き回ってAcne Studiosとか、Sacaiとか、友達の行きたがってたところとかを見て回ったのだが結局欲しいものは見つからず。お金がない時にはいいなあと思うものがあるのに、いざ買おうとするとない。ファッションは難しい。
夜はスマブラコミュニティのデザイナー8人くらいで串焼きを食べて新幹線で実家に帰った。縁が続いているのはありがたい。学生が多いコミュニティなので自分が相談される側に回ることも多く、年齢を感じるというか、自分もそっち側に回った実感を得るというか。

その後はフリーランス仕事に精を出していた。しかし、2/17から2泊3日で東京に行くのが最後の挨拶回りの予定だったのだが、2/14になって労働許可証が発行されて予定が変わってしまった。フランスの就労ビザの申請は労働許可証なしには行えず、かつ東京か大阪の在日フランス大使館に行く必要がある。大使館での書類提出のためには予約が必要なのだが、自分は労働許可証の取得まで予約をしないでいたため、いざ受け取って予約スロットを確認してみたら次の日の2/15か3/6しか空いていなかったのだ。後で知ったけれど、このスロットはチェックすると頻繁にスロットが開いたり閉じたりするようで、他の申請者はかなりカジュアルに予約を取ったりキャンセルしたりしているっぽい。自分ももっと前から仮で日程を押さえておくべきだった。
その日はかなり迷った。会社には3/18に10周年パーティがあるからできればそれまでに来て欲しいと言われていて、3/6だと間に合うかわからない。かといって2/15に行くならば、今日中に書類を準備して次の日の始発近い電車に乗らないと間に合わない。
結局、Twitterを通じて2名の先輩に相談して、次の日の予約を取った。書類を用意し終わる頃にはもう夜遅く、寝られる時間は確か2時間あったかないかくらいだったが、寝たような寝ていないような感覚で始発で東京に向かった。結果、スムーズにビザ申請はできたが、その場でビザの写真を撮られたためすごい目つきの悪い眠そうな顔が僕のパスポートには貼られている。この時のことは詳しくツイートにまとめたので、それを見てもらうのが良いだろう。

突発で東京へ来たものの、そのまま帰るのはあれなのでTwitterでご飯をご一緒してくださる方を募集したところ、吉竹さんが恵比寿映像祭を見に行くのでついでにどうですかをお声がけくださった。軽く広尾のブルーボトルで時間を潰して、印刷博物館の世界のブックデザインの展示を見た後吉竹さんと天ざるをいただいた。美味しくて沁みた思い出。そのあとは恵比寿映像祭をぼーっと眺めたあと、自分は途中でお別れして名古屋へ戻った。

吉竹さんと食べた天ざる。 恵比寿映像祭の様子。人はまばら

名古屋に戻った後はPARCOで知っている方が携わっているMidnight Missionを見て、その後は髪を切りに行ったのだが、ほぼ徹夜が祟って切ってもらっている間ほとんど寝ていた気がする。その後、なんかいいラーメンでも食べようと思って調べてみたらテレビ塔の近くにイタリアンラーメンという一風変わったラーメンを見つけていってみると、生ハムとチーズが入ったラーメンに、食べた後にご飯を入れてリゾットにするというメニューが1400円だか2000円だかで提供されていた。お客さんも全然いなくて正直不安だったのだが、物は試しと入ってみたところなかなか確かに美味しい。でも二回目はない、そんな味だった。ラーメン才遊記とかに出てきそうな。いつの間にかテレビ塔周辺はかなり新しくなっていて、アウトドアショップが入ったりホテルができたりしていて、再開発の波はここにもきているのかと実感。その日は帰った。

2/17からまた東京。何回東京行くんだこの男。相当な額を東海新幹線に捧げている。お昼は新宿の珈琲西武というお店で、このお店を以前教えてくれた小原くんと荒川さん小柴くんとご飯を食べた。だいたいみんな遅刻してきたのは面白かったが。本当はキスケさんやNiviくんともという計画だったが、予定や体調などで都合が合わず。次回帰った時にはまたお話しできたら嬉しい。このお店に行くとつい食べすぎてしまう。今回もオムライスとパフェを。
そのあとは文字のLT会のオフライン開催に配信担当として参加。文字のLT会はGlyphsサーバーを拠点として石川さんが主催されている文字に関してのことならなんでも話せるLT会で、今もコンスタントに開催されていて素晴らしい。自分も2回くらい話させていただいている。この時は初めてのオフライン開催で、配信がうまく行くか不安だったものの卒論のために買ったDJI Micで音声を録り、X-E4で演者を映し、と複雑ながらかなりいいセットアップができたと思う。まあ次回のオフライン開催は参加できないのだが。その後は懇親会もあったが、いつもの文字イベントとは少し違う顔ぶれで、あまり話したことがない人と話せてよかった。

珈琲西武で食べたオムライス

次の日は大学の友人と銀座でシュラスコを食べる。いろいろあって大学の友人との間で「聖地」と呼ばれているシュラスコ店があり、帰国の時や出発する時と何かにつけて行っているが、今回は予定があまり合わず3人になった。自分は食欲はあるが胃は小さいタイプで、真っ先にダウンしてしまうのだが今回は割とペースを保っていただくことができた。シュラスコは焼肉とはまた違う幸せがある。そのあとは日比谷公園でダラダラと遊んで、次の予定のために解散。

少し夕飯には早い時間に、高円寺で大瀧さん阿部さん と中華をいただく。日本ナイズドされた中華は日本でしか食べられないということでここ数年自分はかなり街中華がアツくて、前回も中華だったが今回も中華。エビチリ、天津飯、油淋鶏、炒飯…中華はあまりに美味しすぎる。阿部さんと大瀧さんは、自分が大学生の頃関口さんに紹介していただいて以来、コロナ禍を通してご飯に行ったり、オンライン飲みをしたり、時には悩みを相談させていただいたり…心の拠り所になっている。5年近く経つとそれぞれの仕事や働き方、考え方も変わってきていて話すたびに新たな視点をもらえる。
ちょっと早い時間に夕飯にした理由はその夜マーダーミステリーを誘われていたから。紙ラボさんがGMとして誘ってくださり、ホテルから参加して有馬さんginreiさんshachiさんとプレイしたのだが、初めてながらなかなかうまく立ち回れてよかった。こういったTRPGやマダミスはデザインに携わっている知り合いがいる影響もありタイムラインでは良く見るものの、時間を割と使うこと、またかなり演じる立ち回りが求められることで恥ずかしがってしまいそうな自分が上手くできるかは不安だったのだが、今回プレイしたシナリオはかなり短めで終わった上、あまりロールプレイを求めすぎないタイプだったのでなんとかなった。とはいえ今はまだその一回しか参加できていない。ボードゲームでも人狼とかは苦手だし、トーク主体のゲームよりもプレイやテクニック主体のゲームの方が好きなのかもしれない。

阿部さんと大瀧さん

最終日。ホテルに朝食がなかったので朝食にやよい軒に入った。何気にやよい軒は人生で初。お昼は白井先生の事務所に伺って数時間お話しして、お昼をご一緒した。視デのことを聞いたり、近しい後輩のことを聞いたり、自分の将来のことや今やっていることを話したり。すごい期待してくださっていることをいつも感じるし、伺うたびに自分は応えられているのだろうかと不安になることもあるが、改めてフランスで力をつけていく意志を固めた。
夜は東京駅付近で有馬さんやオンスクの方々と食事だったけれど、そこまで時間が空いてしまったのでちょくちょく使っているFEEEPという作業スペースでポートフォリオ用のグロテスク書体を作って時間を潰し、その後合流。昨年の12月に忘年会の飲みで集まった際はまだ進路が固まっていなかったし、「安藤くんはどうなりたいの?」という問いに喰らってしまったが、一旦自分の向かうところを示すことができてよかったと思う。とはいえ、自分が問われるのはここからなのだが。

帰宅後は会社の作業とフランスの準備を半々くらいで進めたり、昨今はなかんか全員揃わない家族が珍しく揃ったので毎年撮っている家族写真を撮ったり、祖父母の家で祖父、自分、姉、弟の誕生日をお祝いしたり。そして2/20にはパスポートが大使館より届き、正式にフランスの就労ビザを取得。飛行機も取った。ただ、その後もフランスの社会保険手続きのために戸籍謄本の法定翻訳が必要だったりと大忙しではあった。

あと、2/23にはiPhoneのバッテリーを変えようと思って名古屋栄のApple Storeに行ったのだが、結構時間がかかるらしく諦め。ついでに飛行機や小旅行用に使っていたHelly Hansenのバックパックが汚れてきていたのもあり、友達に教えてもらったkarrimorのバックパックを購入。夜は書体界隈の知り合いであり、同じくヨーロッパ在住経験があり、もうすぐ名古屋を離れるという不思議な共通点があるこまりさんとお食事。家族がよく行っているお店なのだがオリジナリティがありつつもとっても美味しかったし、会うのが4, 5年ぶりとかだった上に珍しく文字塾に通いながら文字とは関係のないデザイン業務をされている方なので、話も盛り上がった。

こまりさんと食べた夕飯、お肉が入っていて嬉しいタイプの野菜

3月

2月がとんでもない長さになってしまったのでここからは短くまとめたい。大学を卒業して、NDCに入社した時にリモート会議が多くなるからということでご褒美的に買ったB&W Px7を買い替えたくなり、メルカリで売って後継のPx7 S2eを買った。こっちの方が音がいいし、デザインもいいし、カラバリで白もあってかなり満足している。流石にPx8は高かった。あとメルカリでSIGMAの18–50mm F2.8も買った。やっぱり通し2.8が欲しい。

フランスへ出発する5日前、最後の挨拶ということで大学の友達二人が地元に来てくれた。高専入学で東京に移ったあとにできた友人の中で、地元まで来てくれる友人は初めてだったので嬉しかった。地元の美味しいうどん屋、服屋、カフェ、そして実家のギャラリーなどを回っておすすめの居酒屋に。うちの地元は見るところはあんまないのだが、ご飯だけはかなり充実している。
二人は実家にあるゲストルームに泊まったのだが、僕が留学前に東京を離れるときに友達からもらったLEGOのブーケをまだ組み立てていなかったので謎に三人で組み立てた。組み立ててみるとかなり良い。もっと早くやっておけばよかった。

多治見にある茶菓小というカフェ。こじんまりしていて雰囲気がよい 多治見、やぶれ傘というおすすめ居酒屋 もらったまま組み立てていなかったレゴの花

次の日はイタリアンを食べたあと、岐阜県現代陶芸美術館でフィンランドのグラスアートの展示を見て、名古屋に。2月に原宿と表参道で欲しい服が買えなかったためこっちでリベンジしようとしたのだが、やっぱり何も買うことはなかった。カフェとかも寄りつつ夜に味噌カツを食べて、片方の友達は東京に帰った。次の日は朝早くから起きて市内のコメダで朝食を済ませたあと、最後のアクティビティとして岐阜県内のスキー場でスキー&スノボー。行きたいね〜という話は数年していたものの行けてなかったので最終的に行けて嬉しかったが、今思えばここで怪我してたらシャレにはならない。自分はスキーが苦手なのもありスノボーなのだが、滑るのは中学以来で10年以上前。でも、最初は全然だったものの1時間も滑ったらだいぶ感覚を取り戻してきて、一日かなり満喫できた。帰宅途中に温泉に寄って、さらに夕飯も途中でラーメンを食べて、駅まで送って解散。この三日間は楽しかったし、何よりいい友人を持ったという嬉しさが大きい。
次の日にはもう夜空港前のホテルに前泊予定だったので、急いで荷物をまとめようとするものの、スノボーで全身の筋肉痛がひどい。荷物をまとめた頃にはかなり夜遅くなっていたけど、両親が空港まで送ってくれて、そこで何度も別れを告げた。高専、大学、大学院といろいろ好き勝手やらせてもらっているので、これから恩を返していきたいと思っている。
次の日の朝、飛行機は大韓航空。前回のアシアナ航空ソウル宿泊乗り換え30時間の失敗を活かして今年はソウルで45分で乗り換えるという便を選択。スリルはあったものの無事乗り換えができて、次の日の夕方にパリに着いた。Uberを拾うのに40分くらい手間取ったものの(到着者向けのタクシー乗り場があるのに出発者むけのとこにしかきてくれない)、なんとか20:30ごろには仮の住まいに到着。その日は早々に就寝。

名古屋、大須で買い物をした時の写真 岐阜のスキー場で。

初日の出勤。9:30ごろに会社に着くと、上司と同僚が数人。いろいろとセッティングを手伝ってもらって、そこからはフリーランスの時のように仕事を進めた。遅れて他の同僚も何人か出勤してきて都度挨拶して。ご飯は同僚で中国人のMarkが同じ東アジア圏ということで好みが似ているため、初日からずっと食べるところはついていっている。だいたい、中華っぽい弁当ボックスか、ベトナム料理か、ビャンビャン麺か、たまにイタリアンか、という感じ。こっちはアジア系のレストランが多い。特にベトナム料理で、こっちで発展したというbobunが美味しくて好んで食べている。生活基盤を整える必要があったので、ついてからすぐは携帯回線の契約とか、銀行口座の契約をした。携帯はfree、銀行はN26というスマートバンク。日本からいきなりだと大変だっただろうけど、自分はイギリスの時のSIMと銀行口座があったのでいろいろと楽だった。SIMはお店でその日中に無人機で発行できて便利。
数日後には同僚と一緒に寿司のテイクアウトを買ったのだが、そこで去年の旅行の時にも見たルビがAI生成か何かでおかしくなっている箸を見かけた。寿司はそこそこ美味しいがネタが少ない。後こっちは醤油が普通の日本の醤油と、砂糖を入れる醤油があるらしい。餅か?

1週間も経たないうちに会社の10周年パーティに出た。同僚と関係者、合計30–40人くらいで集まっていたが基本的に同僚と話していた。あと、うちでFontraを一緒に開発しているJust van Rossumと話せたのは嬉しかった。大学院の論文でノールツァイをやったことを話したり、LettErrorのことを話したり。

会社の10周年パーティの様子。

ついて2週間ほどしてから、自分が実家にいた時によく髪を切ってもらっていた美容院の元スタッフさんが今はフランスで美容師をやっているとのことで、夕飯に。ちゃんとした日本料理の居酒屋的なところにいた。たこ焼き、刺身、鴨そば、揚げ浸しなどなど。しっかり美味しかったけど量が少なめで値段が2.5倍くらいした。そうそう行けない。

日本の知り合いの方と行った日本料理店。値段が2.5倍くらいした

持ってきたスニーカーがあまりウォーキングに向いていなくて、運動が足りてないのもあり、散歩をしたいと思ってスニーカーも購入。友達にいろいろ教えてもらって比較しながら、MERRELLのMoab Mesa Luxe 1TRLというスニーカー。黒いスニーカーを履く習慣があまりないので結局あまり履けてないけど、歩き心地はなかなかいい。買った直後に阿部さんがMERRELLの仕事をしているのをみて、偶然さにびっくりした。
あと、Xbox Design Labでカスタマイズしたコントローラーが中国から届いた。まだできていないが、Starfieldをやりたいと思っていたのと、ホヨバースのゲームをiPadでやるため。ずっと使っていたSN30Proはかなりボロボロになっていたので。
2020年のパリ旅行でAfter 8 Booksという本屋に行って、その時なかなかいい本が買えたのだが、こっちにきてから職場のすぐ近くということに気づいて本を買ったりもした。それからもちょくちょく行くようにしている。

4月

この頃は日本人の方の住まいに、日本に戻っている間だけ住まわせていただいている形で4月末までの契約だった。そのため早急に新しい家を探す必要があり、三月の下旬からはPAP.fr, Se Loger, leboncoinなどでひたすら物件を探していた。パリは本当に住まいが足りていないらしく、住居はちょっとでもいいと思ったらすぐ連絡をしないとものの30分くらいで消えてしまうことも多い。また詐欺物件も多く、最初に一回引っかかりかけたものの、途中からかなり見分けがつくようになった。基本的に写真が綺麗すぎるものは詐欺物件が多い。あとはメールを送るように誘導してくるやつとか。
そして、フランス語がまともに話せない自分は基本メッセージで連絡を取ろうとするのだが、そうすると不動産屋からは基本連絡が返ってこない。おそらく電話で連絡してきた方を優先しているのだろう。結局、50件くらい連絡したと思うが、内見に行けたのは3件だった。
今住んでいる家はleboncoin経由で見つけた。正直見つけた時はかなり怪しくて、内見に行ったら「今日に決めてくれたら次の内見者を断って君にしてもいいよ」「水道代・電気代はかからないよ」等々…まあかなり怪しかった。結局同僚にその時電話して、同僚と話してもらって一旦大丈夫っぽいということで入居している。まあこの辺りの細かい話はあった時にでも聞いてもらえれば。
場所に関しても、1区〜8区あたりは中心地すぎて人の住む場所ではないので基本探していない。19区は一度内見に行ったが治安があまり良くなさそうだった。結局、17, 18, 20, 13, 14, 15区などを探して14区に住んでいる。14区は落ち着いていて道も広いし、ご飯屋さんも多くて雰囲気が気に入っている。地図を見ると職場とは離れて見えるが、地下鉄一本30分くらいで行けるので不満はない。同僚に話を聞いてみると、やっぱりパリ内はきついので郊外に住む人が多いらしいが。

あとはスマブラの大会クリエイティブに携わる人を誘って 「スマブラの大会クリエイティブを話しあう会」という配信を行ったりとか、Game is Gameというスマブラの大会が新居の近くで行われていたので、参加されていたShutonさんの優勝を見届けて写真を撮ったりとか、 Glyphs自動勉強会を行ったりとか、初めてフランスでフランスパンを買ったりとか(traditionという名称がついている)。

スマブラの大会、Game is Gameの様子

引越しの前後は、古い家から荷物をスーツケースに入れて会社に出勤して、そのまま新居に行って荷解きしてから古い家に戻ったり、IKEAやAmazonで注文した商品を開封するだけして帰ったり、退勤後IKEAやDIYショップに行って買って持っていって…と言ったことを1, 2週間して、なんとか環境を整えた。最初は回線がなかったが、携帯と同じくfreeの回線を契約した。スマホに特典もあるし、どちらも回線速度はかなり早い。引越し中は自炊している余裕もなかったので近くのケバブ屋に足繁く通っていたのだが、途中から顔を覚えられてmy friendと呼んでくれるようになった。引っ越してしまったのは寂しいが。

また、昨年の後半から今年の初めにかけて取り組んでいた、個人で受けたカスタム書体の仕事であるGLOBIS Serifが発表されたので、個人でもアナウンスした。Takramさんと仕事ができたのはかなり嬉しかったし、大曲さんにいろいろと契約周りのことを聞きながらではあるけど、自分でやりきれて、なかなか綺麗な書体が作れたので嬉しかった。

5月

5月は生活を充実させる月だった。ダイニングテーブルを買ったり、本棚を買ったり、Screenbarというライトを買ったり、デスクに敷く革を買ったり、スツールを買ったり。だいぶ部屋っぽくなってきた。1個失敗だった買い物は洗濯機。自分の家は家具なし物件で、洗濯機もなかったのだが、大家さんからは設置はできるから置いてもいいよと言われていた。いざ置く場所を調べてみると幅が狭く、大抵の洗濯機が入らない。結果、中国のメーカーのものが入りそうだったので買おうとしたのだが、なかなか高かったため設置付きの配送サービスがあるものではなく、少し安いところで購入した。しかし、買ってから注文したショップも配送会社も評判が悪いことに気づき徐々に不安になっていった。そして、不安は的中。配送会社は玄関口までしか運んでくれず、自分の部屋の6階までは自分で運ぶしかなかったのである。うちはエレベーターが狭いので入らないし、そもそも一人で運べないし…といろいろ考えた結果、leboncoinで近隣の人に売るとか(玄関口に放置したまま)いろいろ検討して、結局返品ギリギリの期間に返品した。結局自分は心労を溜めて配送料を無駄に払っただけである。今思えば洗濯機を入れるスペースはDIY的に作られているものだったから自分で広げることもできた。もうちょっと考えて買い物をするべし。結局今はコインランドリーを使っている。
あとは家から徒歩10分くらいのところでマルシェ(市場)を週二回やってることを知り、そこにも行くようになった。安いのかはわからないが、新鮮だし相当な種類の野菜、肉、魚などがあり、今もだいたい週一回で通っている。最初はフランス語で手間取っていたが、今はかなり慣れた。日本食スーパーもパリは多くあり、そこで米や調味料も調達し、圧力鍋でご飯を炊いたりもしている。

家の近くでやっているマルシェの様子

この頃はインターンが来ていたり、フリーランスで契約している人が会社に来ていて、都度お別れ会があった。基本的に終業後近くのビストロ的なところでチーズとパンを当てにお酒を飲んで、遅くなったら解散して一部はボードゲームカフェに二次会に行く形。自分はボードゲーム好きなのもあり、二次会にも毎回参加していた。あまり見たことのないものも多く楽しい。帰る時はだいぶ遅いので大変だが。
また、5月には学園アイドルマスターのリリースもあった。有馬さんとNiviくんが携わっており、デザインはもちろん曲やキャラクターもかなりいい。特に自分が好きな花海咲季さんというアイドルの曲、Fighting My Wayは今年一番聞いた曲だと思う。本当にその曲だけ狂ったように聞いていた。なお、配信オンリーのセカンドシングルのジャケットには僕の作ったHaithamが使われていてとても嬉しい。

ボードゲームカフェの棚。知らないボドゲがたくさん

5月の最後には1週間だけ日本に帰った。飛行機は初めてJALの直行便を使ったけど、ご飯はもちろん美味しいしスカイタイムというドリンクがかなり良い。ハーゲンダッツがついてきたりしたのは驚いた。帰省のメインの目的は、親がどちらも作家という、自分が覚えていないくらい前からの僕の一番の友人の結婚式。そろそろ結婚式が増えてくる年頃だと思うけど、自分にはこれが初めてだった。料理を担当されているのが親繋がりの料理家さんというのもあり食事もとても美味しかった上、最後の方は少し…というかかなり、泣いてしまった。もちろん自分はかなり仲のいい友達だとは思うけれど、出し物とかメッセージとかを見ていると、当たり前だけど自分以外もたくさんの人との繋がりがあるんだなあ、と実感してしまって。

JALのご飯。実に日本っぽい味で美味しい 結婚式の料理、大量のポテトサラダ

あまり有給が溜まっていないのもありそこまで自由に日本で動ける時間はなかったが、帰国直後は東京駅で工藤くん舟山さんと天ぷらを食べたり、京都に行って阿部さん、大瀧さん、正田さんと中華を食べたあと公園で遊んだり、京セラ美術館を見たり、VOUを見て服や帽子を買ったりもした。デザイナーとして接してきた尊敬する先輩方の家庭的な顔を見るのは新鮮だった。別れたあとは買い物で歩き回ろうと思っていたけど、思っていたより疲れていてほんの少し買い物をしたあとは寿司を食べて帰った。ただ、寿司屋で両隣が何故か外国人観光客で、日本にいるのにフランスに戻ったような気持ちになった。左隣にいた老紳士二人に醤油やお茶の入れ方を教えたついでにいろいろと話してみたけれど、デンマークの方で定年退職をして日本を縦断する6週間の旅行をしているらしい。日本円はかなり価値が落ちているし、確かに旅行はピッタリだろう。いろいろ話せて面白かった。

京都の公園で。大瀧さんと阿部さんとフリスビーで遊ぶ

日本に帰る前にいろいろ注文していたものも受け取った。あとで細かく紹介すると思うけど、GENELECのスピーカー、iPad Pro、Stream Deck Neoなど。かなりスーツケースは空けてきたので、本や機材はもちろん、お気に入りの醤油である紫大尽、雪の下みそなども持って帰りパリの家が充実した。

日本の最後は東京で有馬さんと会って、労働3ヶ月の所感の話をしたり、学マスの話をしたり。そのあと一緒にgggのNOHINの展示を見に行った。途中まで有馬さんがNOHINがフィクションであることに気づいていなくて面白かった。八木さんは今まで存じていなかったのだが同世代らしく恐ろしい。3D、モデリング的手法をグラフィックに取り入れるのは自分が普段触れ合う界隈と違い面白かった。地下の作品は挑戦的だった。
夜はEGSの方と青山餃子房でいろいろいただいた。銀盾記念だったらしい。安くて満足感が高い。その日はホテルに泊まって、朝の飛行機でパリに戻った。飛行機はロシアが通れないためアラスカの方を経由していて興味深い。

有馬さんとみたgggのNOHINの展示

6月

6月はあんま何もしてなかったと思う。だんだんパリも暑くなってきて、蚊が増えてきて苦しめられた。パリの窓には網戸がないのである。あとで知ったけどイギリスは蚊がいないらしいので本当にフランスだけ。結果として、コンセントに刺すタイプの蚊除け(熱でエキスを散布する機械)を買ったことでかなり改善された。
あとは額縁を買って自分の書体が使われている百合姫の色校とSubpixel Mattersのポスターを飾ったり。

GENELECのスピーカーを設置しようとしたが、ケーブルがパリ市内で見つからなくてわざわざギリシャのケーブルを作ってくれるところで買った。XLR-Phone端子。
あと、日本から帰ってくる時にPS5を持って帰ってこようと思っていたのだが、あまりにもデカかったため断念したので代わりにこっちでPS5を買った。結果このすぐ後に値上がりしたのでラッキーだった。ちょうどその頃、ストリートファイター6が一周年で半額セールになっていて、周りも始める人が多かったので自分も始めた。とはいえライトにやるつもりだったのでパッド、モダンリュウでのプレイ。元々はカワノさんファンなのもありルークのつもりだったが、弱体化したのでやめて、なるおさんの影響でのリュウチョイスだった。結果数週間でプラチナになんとか行くことができ、そこからプレイはしていないのだが。

6月はこのくらいかもしれない。仕事が忙しい時期だったので、それにかかりきりだった気がする。

7月

フランスでは6月末から7月の初めにかけて、国で定められたSoldeというセール期間がある。自分もついつい財布の紐が緩くなり、いろいろと買ってしまった。仕事に使っていたFreitagのバックパックの紐がボロボロになってしまったので新しいバックパックとしてTropicfeelのバックパックを買って、夏用とウォーキング用のSalomonのスニーカーを2足。とはいえ、ウォーキング用の方は最後まで色を悩んだのだが、現状あんまり履けていない。薄緑と茶色が難しい…夏用の方も、裸足で履きたかったが裸足だとどうしても靴擦れが起きてしまう。とはいえそちらは愛用していたけど。
特に仲良くしていて、スニーカーとかラップ、ゲームとかの趣味があったインターン生の一人のお別れ会もあった。まだ院生だけれど硬派な書体を作っていて良かった。卒展も来年とかにあるらしいので行きたいと思っている。おすすめのフランスラップのプレイリストを作ってくれた。

フランスに就労ビザで入国した場合、OFII(移民局)の召喚と健康診断がある。自分はそれがなかなか来なくて、忘れた頃の5月に連絡がきていたのだが、気付かずすっぽかしていた。同僚に電話してもらって7月に再予約できたのでそれに行ってきた。健康診断はまあ健康診断という感じだが、召喚ではフランス語のリーディングとスピーキングのテストがある。自分はそれまでに毎日フランス語というNHKラジオを通勤中に聞いたり、フランス語の文法の本や単語帳で勉強はしていたものの、まあ話せるレベルではなかった。フランス語のレベルによって100時間、200時間、600時間などのフランス語教室に通うことを命じられるのだが、自分は英語が話せるのもあり100時間のクラスに割り当てられた。まあまあ、100時間なら頑張れる。係員の人から、週1土曜に6時間のコースと週4月火木金に3時間のコースがあり、後者の方が良いと勧められる。自分は最初土曜で考えていたけど、貴重な土日を潰すのも嫌だったし、まあ働いた後3時間くらいならいけるかと思い、そちらを選択した。

7月の半ばに健康診断に行って、後半にはフランス語の教室が始まる。基本的に受けているのはほとんど「会話はできるけど読み書きが苦手」という感じのアフリカ系、ないしは南米系の人が多いが、たまたまエレベーターで日本人の人を見つけ、話しかけてみたら同じクラスだった。他にも何回かの授業の後に帰り道で他の日本人の方も見つけ、教室が終わった後も数少ないフランスにいる日本人の友達となった。今も数ヶ月に一回食事などをしている。
教室はもちろんなかなかハードではあったし、最初は何が何やらという感じではあったけれど、リスニングがメインな分今までの勉強もよりスムーズに脳に入る感じがして、通って良かったと感じている。

7月はとにかく暑くて、エアコンがないフランスでかなり苦しんだ。なんとか扇風機で耐えてはいたものの、6階の自室はそれでもどうしようもないくらい暑くて苦しかった。たまに雨が降って気温が下がったのがせめてもの救いで、最高は35度くらいだったけれどこれでも冷夏らしい。湿気は日本より少ないとはいえ、別の苦しさがある。後半は買い物の影響で金欠だったので一生トマトとじゃがいもを食べていた。
後、この頃から大成さんに墨とPathの声かけをした。

8月

8月。先月からオリンピックが始まり、街は一転オリンピックムードに。同時に夏のバケーション期間となり、同僚もほとんどが有給を取って休んでいたし、街のお店やレストランなんかもほとんど休んでいて、何もできない期間だった。そんな中でも、自分は有給をずらして使おうと思っていたので働いていて、フランス語の教室には通っていたが。

家の近くにルクセンブール庭園というパリで一番大きい庭園があって、行こう行こうと思って行けてなかったけれども、土曜日にようやく行けた。まずは庭園を通り抜けて、5区にある日本人とフランス人のご夫妻の和食&パティスリーに。ここは昨年ATypI Parisの時に行った店で、美味しかったのを覚えていたのでもう一度行きたいと思っていた。冷やし中華とケーキをいただいたが、冷やし中華はあまりに貴重なので嬉しかった。帰り道はパンテオンへ。パンテオンはかつては納骨堂であり、今は一般に開放されている。行列ができていたもののオンラインでチケットを買ってスムーズに入場。中を見学し、たまたま催されていたパラリンピックの展示も見た。フランスの歴史的建造物は、そのまま残すだけではなく現代美術を中で展示したり、展覧会を行ったりと場所を生かして現代のものと調和させているところが興味深いと感じる。

ルクセンブール庭園の様子その1 ルクセンブール庭園の様子その2。オリンピック期間で観光客も多い KAWAKAMIという日本食の店で食べた冷やし中華 パンテオンにある現代美術展示

仕事で日本語のOpenType機能やテーブルの仕様を新しく知ることが多いのだが、数年もすれば忘れてしまうことも多い。なんなら、大学で習ったことも曖昧になっているところは多くある。自分の記憶ほど頼れないものはない。Lookdev自動勉強会のCosense(Scrapbox)がカスタマイズされているのがカッコよかったので、Glyphs自動勉強会のCosenseもカスタマイズして、ついでに自分のワークスペースを作ってカスタマイズした。書体、タイポグラフィ関係の知識の保管庫としてのワークスペースである。この時から、新しく知った仕様はMicrosoftの仕様を自分で和訳したりしながら、OpenType機能、書体デザインに関わる人々、ファウンダリなどのページを作りまとめて行っている。まとめるようにしてから知る意欲も増したし、5年後10年後に生きてくると思いたい。

Cosenseにまとめている書体関連の知識ノート

スマブラのデザイン繋がりでギルティギア-ストライブ-のコミュニティ大会、「狼炎」のロゴタイプとシンボルマークのデザインをさせていただいた。改めて自分のレタリング周りの拙さを感じたが、色々と案を出して最終的には骨太な良い形に落ち着けたのかなと思う。シンボルマークはまだまだ造形力に改善の余地がたくさんあるので、引き続き勉強といったところか。

8月の後半。暑い日も続く中、フランス語教室の50時間時点での中間テストがあった。ここでいい点数を取れると100時間やらずとも修了することができる。自分はあまり自信はなかったが、噛み合いがよかったのかなんと合格してしまった。12–15人くらいのクラスで合格者は3人だったので嬉しかった。勉強だけは昔から得意だったのが活きたのかもしれない。
しかし、フランス語教室が終わってもまだCivic Trainingというフランスの歴史や仕組み、地理、法律などを学ぶ訓練があり、それに通うことになった。だいたい土曜に6時間ほど、全4回。最初に行った時、日本人っぽい人いるなーと思っていたが全員中国人か韓国人で、日本人は自分だけ。中国人と韓国人はそれぞれの翻訳付きのクラスに分けられたが、自分は英語のクラスだった。翻訳機が聞き取りにくくてあんまりわからなかったけど。後で聞いたところだと、これは自分が移民局で英語でいっすよと言ってたからこうなったらしい。友人は日本人のクラスで日本語翻訳で聞いたようだ。とはいえ、アメリカから来たフォトグラファー、オーストラリアから来たデザイナーと仲良くなれたのでよかった。これも縁。

8月の末ごろにjustfontのデザイナーの方々が弊社に訪問してくださり、色々とCJKについて話すことができた。justfontはクラウドファンディングで書体を作っていたり、和文も作っていたり、(あとは日本の大学生が書体をパクって問題になったり…)と日本でも知っている人はいると思う。文字セットのことなどいろんな有益なことを話せた。うち一人は昨年文字塾に通われていたらしく(海外から!)日本語も堪能だった。フランスで鳥海さんの元書体を作った方と会うというのもなかなか面白い。

フランスの街はあまり綺麗ではない。一番嫌なところは犬のフンが普通に歩道に放置されていることだ。街路樹の植え込みなどは高確率でフンだらけである。こっちに来てから二回くらいフンを踏んだ。最悪だった。犬は好きだけど飼い主はちゃんと回収して欲しい。

9月

オリンピックがせっかく行われているのに全く乗らないのもどうかと思ったが、オリンピックのチケットは高かったのでパラバドミントンのチケットを取って、9月の初めに見に行った。結果としては自分の見た試合で日本は負け続きで銀や4位だったものの、雰囲気は楽しめたしフランス勢の応援はかなり力が入っていて、選手の顔パネルを持ってきていたり点を取っても取られても歌っていて面白かった。パリ五輪のトーンで揃える色の使い方と特徴的な書体は十二分にアイデンティティとして機能しており、この期間は会場も街中も彩られていた。

オリンピックの会場の1つの様子 オリンピックのパラバドミントンの様子

6月の末にCounter-PrintDinamoで注文した本が7月中に届く予定だったのだが、バケーションも重なったからかなかなか届かない。Counter-PrintはUPSの配送だったのだがこれがなかなか厄介で、一回配達に失敗したあと全然再配達ができず、配送情報を変えようとしても会員にならなければならず、かつフランスのホームページからだと会員になれないという数々のデッドロックが発生していて、結局一ヶ月以上悩まされることになった。Dinamoの方も商品倉庫のトラブルか何かで全然発送される気配がない。9月になって、Counter-Printの方はUPSから郊外の倉庫に取りにこいというメールが届き、5kgの本を担いで持ち帰った。Dinamoも何度か問い合わせたら最終的に受け取れたが、フランスでは基本家に発送するのはやめた方が良い。郵便局やピックアップポイントを指定するのが望ましい。

突然ラーメン欲が高まって、評判のいいラーメンに行った。ただ、英語のメニューを受け取ったら観光客判定されたのか「前菜頼む?飲み物頼む?スペシャルにする?」と色々オプションを勧められ、前菜は断れなさそうなので頼んでしまったし、普通の無料の水を頼んだかと思ったらミネラルウォーターでお金とられるしで合計4000円くらいになってしまい、味は良かったのに悲しい思いをした。
7月くらいからプレイしていたエルデンリングをクリアした。自分は昔ダークソウル2か3をプレイして序盤で諦めたのだが、昨年アーマード・コア6をクリアできたのもありソウル系に再チャレンジしてみることに。DLCも出たし。詳しくは後述するが、筋神ビルドで無事クリアまで辿り着けた。DLCは途中。

6区で食べたラーメン。美味しくはあったのだが…

9月の末から10月の頭にかけては有給を一週間分とってイギリス旅行。こちらにまたきてから大曲さんに挨拶したいと思っていたし、ロンドンで稀に開催されているエフェメラ・フェアに在学中は行けなかったので、このついでに行ってみようということで。また、Cumuloworksさんに以前お勧めしてもらった、スペインの南にあるイギリス領ジブラルタルにも行くことにした。ジブラルタルはスペインから陸路で行くか、空路ならロンドンからの便しかないのでこの機会しかないと思った。

この一週間の旅行はかなり濃いものになった。まず初日、日曜日は大曲さんあけさんと合流し、エフェメラフェアを見た。手書きの契約書、地図、新聞広告など、300年近く前のものからリトグラフまでよりどりみどりである。もちろんこれらは買えるので、たっぷりと写真を撮ったあと、自分はタイトルがバスタルダ体で書かれた契約書と昔の地図、1930年に発行された女性向けの手芸雑誌を買った。そのあとは大英博物館近くのお店でテイクアウトの中華まんを食べて、ギリシャ料理のお店でお昼。そしてLondon Museumの企画展へ。テムズ川から物を拾う資格みたいなものがあるらしく、拾い上げられた物のコレクション展という一風変わった展覧会だった。ボタンやコインといったよくありそうなものはもちろんなのだが、かなり多くて驚いたのは象牙のパイプ。精巧な彫刻をされているものも多く、時代を感じさせられる。
あけさんとはそこで解散して、大曲さんとカフェで少し休んだ。大曲さんは最近フジフイルムのカメラに熱があるので自分の持っているTamronを見せたり、逆に大曲さんのレンズを見せてもらったり。そのあと時間がまだあったので、ブリックレーンの辺りでグラフィティを二人で撮って回った。連れ回していいものかと思ったが(笑)、たくさんいいグラフィティを撮れて資料にもなるし楽しかった。昔はこの辺りで勤務されていたらしい。その日は夜インドカレーを食べて解散。ちょっとクリーミーにしすぎたのでもうちょっと辛くすれば良かったな。

エフェメラフェアに出品されている昔の広告 お昼に食べたギリシャ料理 テムズ川から拾い上げられた昔の象牙のパイプ ブリックレーンで撮ったグラフィティの写真

次の日はウィリアム・モリスとも縁があるDoves Pressの名前の元になったというパブ、The Doveが宿の近くにあったためチラッとみたあと、The Design Museumでやっていたバービーの展示を見た。バービーの展示が見たかったというよりもたまたまやっていたのがバービーだったという感じ。そのほかにもリサイクルファッションの展示とか常設もありボリュームはかなり多い。そのあとはホランド公園を通ってMuseum of Brandsに向かったのだが、途中で道を間違えて相当な距離を歩くことに。普段が不健康だったのでまあ運動と言えるだろう。その後もロンドン中心部をカフェで休みつつも歩き回った。ベーカーストリートのシャーロック・ホームズミュージアムはかなり並んでいたので諦めたが、Labour and Waitなどの雑貨屋、Magcultureなどの本屋など。海外の雑誌を買うのは結構好きなので何冊か購入。最後はブルータリズム建築で有名なバービカンセンターを見学して写真を撮って、夕飯はイギリスに数店舗ある丸亀製麺を食べた。最初のThe Design Museumでロンドンのデザインや建築に関する本を買っていたり、前日に調べ物をしたので行きたいところには困らなかった。

Doves Pressの名前の元になったパブのThe Dove The Design Museumの外観 Magcultureという雑誌専門店 バービカン・センターの居住区部分

次の日は朝食にザ・イギリスのブレイクファストという感じのプレートを食べて、ヴィクトリア&アルバートミュージアムへ。ここはすごいおすすめで、大英博物館ほどの規模ではないものの、イスラムやインドといった地域別、ないしブロンズや銀細工、鉄鋳造などのカテゴリ別に大量の装飾や物品、印刷物などが展示されている。前回は大学院の授業で来たのだが、到底見切れなかったので今回も見て回ったのだが、それでもなお全部見ることはできなかった。特に植物を模した鉄鋳造の柵などのデザインがかなり好み。あとは写真の企画展なども。日本の工芸とテクノロジーを合わせた展示コーナーもあった。
見終わったあとはハイド・パークを横断したあと、ピカデリー・サーカスというロンドンの最も栄えているエリアでケーキを食べて、友達とビデオ通話をしながらENDなどの服屋を回った。買わなかったけど。近くにあったIDEAという古本屋は、インターフォンを通さないと入れないというハードルの高い仕様だったが勇気を出してそこも訪ねた。結果としては本のレパートリーに日本の古書が多く、俺が買っても…という感じではあったけど申し訳なさからちょっとだけ本を買った。一緒に購入したオリジナルの“All England Techno Club”キャップはかなり愛用している。
その日の夜はウインブルドンまで行って、母の知り合いでワインやチーズ、日本の物産などを取り扱っている方の元へ行き、スタッフの皆さんとご夫妻に串焼き肉を奢っていただいた。焼肉なんてなかなか食べる機会がないので思わず舌鼓を打ったが、帰り道に電車が止まる駅を変更して倍くらいの時間がかかった。疲れた。

この日に食べたいかにもイギリスな朝食、卵焼き、ブレッド、ベーコンなど V&A博物館の鉄鋳造ゾーン IDEAという本屋 韓国焼肉。串おきがついており自動で回転する

次の日はレディング大学院に。教授のGerryと2時間くらいじっくりと、今後何をやっていくか、自分の強みは何か、今のところで5年働いたあとどうするべきか…などと用意した質問をもとに濃い話し合いができた。今思えば自分はよくできた学生ではなかったが、自分の強みを教えてくれて、勇気づけてくれて、真剣に将来に向き合ってくれて心が軽くなった。そのあとはまだレディングに住んでいる同級生とか、同居人、PhDの友人と大学内のパークハウスというパブで昼食兼飲みながら語らった。やや変わったメンバーになったが盛り上がったし、みんな元気で嬉しい。夜はレディングにいらっしゃるNew Johnstonに携わった河野さんと夕飯をいただき、当時の話をたくさん聞いた。これだけ辞書やDeepLが普及している今ですら僕は苦労しているのに、40年近く前の留学で、かつ書体デザインの知識も深くない状態でこれだけの残る書体を作られていることに改めて感服した。

レディング駅。帰る前の工事はまだ終わっていなかった レディング大学、書体デザインコースの教室 レディングのショッピングモールで河野さんと食べた日本食

その次の日はウィリアム・モリスデーと言っていいだろう。ロンドン北部のウィリアム・モリスギャラリーを見て回って昼食。その後は東南部のレッドハウスを見学した。この流れはとてもよくて、作品のみをギャラリーで見た後にモリスが暮らした家と彼の作った家具、天井の装飾などをより近い距離で感じることで考え方が入ってきやすい気がした。モリスがレッドハウスを建てたのは自分と同じくらいの年齢の頃らしい。すごい。
テート・モダンという7, 8階くらいある現代美術館に行こうとしたのだが、電車を間違えて時間をロスしてしまい、30分か1時間くらいしか見ることができなかった。とはいえ、大体の常設展と光と煙によって趣向を凝らした企画展などは見ることができた。途中で一回間違えて出てしまい、再入場できずギャラリーショップは見れなかったのは残念。夜は突然フィッシュ&チップスを食べたくなり、パブに一人で入ってビールとフィッシュ&チップスを食べた。ロンドンで一人旅行しながらパブに入っている自分になんだか不思議な感覚を覚えた。

ウィリアム・モリスギャラリー。広い年代に渡る彼の作品がずらり レッドハウスの壁紙。遊び心が見られる レッドハウスの屋根についている旗のオブジェ テート・モダンの塔。遠くからでも目立つ無骨さ テート・モダンで見た煙と光を使った展示 一人で入ったパブ

次の日、朝は5時おき。朝早くのジブラルタル行きの飛行機に乗るため、昨晩ヒースロー空港近くのホテルに泊まっていたので、そこで朝食を済ませて飛行機に乗った。ジブラルタルの空港は巨大な岩「ザ・ロック」があり着陸が世界の中でも有数の難しさらしい。スペインの南だけあってロンドンよりもかなり暑く、この日はTシャツになって、まずはホテルにチェックイン。ホテルはどうせ旅行ならばいいところに泊まろうと思い、リゾートホテルっぽいところに泊まった。次の日の朝食は普通だったけど。
ジブラルタルの旅程は2日間しかなかったので少し休んだら早速ケーブルカー乗り場へ。ザ・ロックがジブラルタルのメインの観光場所なので、30分ほど並んでいきなり頂上に登る。頂上は絶景の写真スポットだったので、持ってきた特大のタムロンで写真を撮って回った。その後は下山しつつ色々なスポットに寄る感じで。ザ・ロックは歴史の中で包囲戦の戦場になることが多かったようで、第二次大戦やそれより前にも掘られた洞窟や、自然にできた鍾乳洞などのスポットが数多くある。この日は張り切って途中休みながらも徒歩で歩き回った。鍾乳洞はビビッドな色でライトアップされていて、日本との見せ方の違いが面白い。あと特徴的なのは野生の猿。かなりそこらじゅうにいて、そしてかなり自由だ。餌付けをするなという看板をしょっちゅう見たが、観光客の一人がクッキーを袋から取り出し上げようとしたら袋の方を取られていた。自分も一回リュックを引っ張られてびっくりした。力が強い。
歩き回ってかなり疲れたのでホテルで30分ほど休んだあと、市街地へ。人々の話す言葉はスペイン語半分、英語半分といったところだろうか。この領土全体が免税地区らしく、それを押し出しているゲーム専門店なども多い。歩いていたら広場に着いたので、お昼ご飯に二日連続フィッシュ&チップスを食べた。そのあとはムーア城というムーア人の城を軽く見たあと、大戦の時に作られたトンネルを見ようとしたのだがどうも開いていない様だった。
またも疲れてしまったので少し休んで、その日最後の目的地である庭園へ。庭園ってどう感想を書けばいいかわからないけど。こういった場所も楽しめるのは歳をとったということなのかもしれない。夕飯はイタリアンを食べた。美味しかった。食べ終わった頃には辺りは暗くなっていた。その日はあまりに上下動が激しかったため、ヘルスケアを見ると94階分上り下りしていたらしい。

ジブラルタルの空港から見るザ・ロック。着陸が難しいらしい ケーブルカー。結構混む ザ・ロック頂上からの景色。 ザ・ロックの途中で見た渋滞と、平気で車に乗る猿たち 鍾乳洞。日本と違いかなりビビッドにライトが当てられている ザ・ロックの戦争の名残を残す展示 市街地の広場。さまざまな飲食店で賑わう 植物園。サボテンなどが多い。 夕飯を食べた後のジブラルタルの夜景

2日目。朝食を済ませて、ジブラルタル最南端の灯台にバスで向かった。観光客もそこそこいて、戦争の記念オブジェクトや大砲を模ったオブジェクトもある。南を見ると、うっすらとアフリカ大陸…モロッコが見える。バスは30分ごとだったのだが正直30分も見るところではなかった。そこにちょうどよくカフェがあり、いい商売してるなと感じるのだった。
飛行機の時間が迫っていたので、ホテルに戻ってチェックアウトし、空港へタクシーで向かう。ロンドンに戻ってからは、最後に大学院の同級生であり、同居人でもあった友人がわざわざ電車で来てくれたので一緒にお昼を食べて、最近のことについて語り合った。彼も書体デザイナーを目指してはいるものの、まだ入る先は見つけられていないらしい。いい道を歩んでほしいと願う。
今回は行きと帰りは飛行機ではなく、海峡を通る国際列車であるユーロスターを使った。飛行機同様荷物検査や出国審査はあるけれど、大体空港は遠いのでユーロスターで正解だった。時間を探せば安い時もあるし。そんな感じで9月は終わり。非常に充実した旅だったので、今後も続けていきたい。今回は多くのギャラリーや美術館を回ったが、企画展の展示期間外だったりそんなに興味がないものだったり、申し込みが遅れたり…ということもあったので、次回は下調べを入念にして。

ジブラルタル南端から見えるモロッコ ジブラルタル南端の岬にあるオブジェ

9月の初めからスマ納めの制作に携わっていたが、それについては 前回の記事 で存分に語っているのでそちらを見てもらうのがいいだろう。

10月

10月の記憶はあまりない。というか、ほとんどメタファー:リファンタジオをプレイしていた。10/10にプレイし始めて、10/28あたりにクリアしたと思う。序盤はまあまあという感じだったのだが中盤から展開が変わり、加速度的に面白さが増していくいつものアトラス的構造で、本当に作業と仕事、食事、睡眠を除いた時間の全てを捧げていた。内容については後で。
半ば、大学の友達にマルジェラとサロモンのコラボスニーカーが出ることを教えてもらう。どちらもフランスのブランドだし、フランスは日本よりもこういった限定ものを買いやすいのもあり、ダメもとで発売開始時に注文したら買えてしまった。オールブラックながら質感が異なり、足の甲が見える特殊なシェイプで履きこなしは難しいものの結構気に入っている。

9月に開催された名取さなさんのファーストライブ、「サナトリック・ウェーブ」をアーカイブで視聴した。配信をめちゃくちゃ見ているわけではないのだが、曲が好きでたまに聴いている。今年の連続リリースはどれもすごい良くて、特にアニマルま〜るとオヒトリサマが好みだった。さなのばくたんなどのパフォーマンスメインの舞台と違い、生バンドを伴った完全なライブはファンからも熱量を感じたし、マルチアングルカメラやARカメラなど、配信面の取り組みも相当な力の入り方を感じた。clocknote.さんが裏で頑張っているのかなあと想像しつつも…楽しかった。いつか生(生?)のイベントにも行けたらいいなあ。名取と行くなすどなどもとても素敵な取り組みだし。アニマルま〜るのMVめっちゃいいんで見てください。

前述したフランス語教室でできた友人と鰻を食べに行った。地元はなぜか鰻で有名なので食べ比べると確かに身はやや物足りない気もするのだが、やっぱりうなぎの独特のタレと山椒を味わうだけで、ああ、鰻だと感じる。7000円くらいしたが食べた甲斐はあった。お吸い物とかうざくも美味しいですよね。書いてたら鰻食べたくなってきた。

パリで食べた鰻。高いがタレがうまい

朝、包丁で野菜を切った後まな板に置いていたら、袋をぶつけて滑らしてしまい落ちた包丁で足を切った。そこそこ深い傷で血が結構出て、流石に絆創膏じゃダメだなと思いミーティングだけ済ませて病院に行くことにした。フランスは個人医がアパートでやっている医院と大きな病院があり、こういった場合は大きな病院の救急外来に行く。救急外来では2時間くらい待ったものの手早く縫ってくれて、またその後自分の予防接種を検査してフランスの基準に満たなかったものを追加で打ってくれた。自分は子供の頃予防接種を打ち切っていなかったらしい。その時は怪我の治療ともども支払いがなくて無料なのかと思ったが、後で請求が家に届いた。
その後は二日ごとに消毒して絆創膏を変え、2週間経った時点でCabinet Infirmierという看護師が常駐して簡単な医療ケアをしてくれる施設で抜糸してもらった。とはいえそこからすぐ直ったわけではなく、線状の絆創膏で繋ぎ止めながらゆっくり治した。ちょうどフランスの社会保険に入ったばかりで、その辺りの保障を受けられたのはありがたかった。今は跡は残っているものの、痛みはないのでご心配なく。

10月はそんなものかも。最初の旅行、メタファー、怪我、スマ納めの終わった記憶。あと家のオフィスチェアが合わなくてひたすらいいものを探し回っていた。ナスにハマってナスばっか食べていた。

最近やたら食べている茄子の煮浸し

11月

11月は墨とPathの準備とスマ納めの制作の月だった。月の初めに、7月くらいにSepyuさんに声をかけて9月あたりから何度か打ち合わせてつつ進めていた、新しいアイコンに変更した。前のアイコンは自分が高3くらいに作ったもので、なんとも絶妙な表情をしていたので、もっと前向きな感じにしたかった。また、もう少し緩めな有馬さんとかなめサン、clocknote.さんみたいな方向に寄せたいと思っていた。結果としてはかなり気に入っている。実写とかより抽象的な方向に持っていくのもありだが、スマブラやグラフィックの界隈ではキャラクターがいた方が馴染みがいいだろうと思っていたので、オリジナルのキャラクターで恥ずかしさはありつつも、続投している。長く使っていくと思う。

上旬は墨とPathのWebサイトを作るためにAstroを再学習した。元々はStudioなどで行おうかと思っていたが、スマ納めのWeb制作の話も上がってきていて、試しにやってみようと思い。Copilotを導入したので困ったところも比較的楽に解決できたし、自分のポートフォリオの作り直しはかなりヘビーで腰が上がらなかったものの、これくらいの単ページのサイトは1週間くらいで作ることができた。リハビリにもなってよかった。また、コンテンツ更新のためにCMSとしてSanityも導入している。今までは過去にmicro CMSを少し触ったことがある程度だったが、改めて学習し直すことができたし、最初のハードルはやや高いけどカスタマイズ性が高くてかなりいい。なめサンの記事やオンラインのチュートリアルに助けられた。Portable Textはいまだによくわかっていないのだが。あと、yarnを使っていたがpnpmに変えた。変化はあんまり感じてないけど。その後も初収録や編集を行なっていた。編集はSpeed Editorを持っているのもありDaVinci Resolveで行ったのだが、まあ出来はするものの便利という感じではなかったので次回以降AuditionやProToolsといった別のソフトウェアも試していきたい。

日本の免許証からフランスの免許証への切り替え申請が無事終わって、フランスの免許証をゲットした。こちらで運転をするつもりはあまりないのだが、引っ越しなどで使うかもしれないし、パリは嫌でも地方に行ったときには機会があるかもしれないと思い。フランス移住後1年以内なら申請だけで切り替えできるのだが、1年経ってしまうとこっちの車校的な手続きを踏む必要がある。また、保険証(Carte Vitale)も受け取った。こっちにきてすぐ手続きしたのに、受け取ったのは11月。それまでに何度も連絡したり書類を提出したりと、前々から手続きが遅いだの対応が悪いだのという悪評はブログで目にしていたが、実際そうだった。しかもパソコンだとたびたびログインに失敗する。なんなんだ…

11月くらいから寒い日が増えてきて、0度に近い日は極厚のダウンでなんとかしていたのだが、耳だけは防ぎようがないので、ニット帽を買うことにした。色々と検討した結果結局Salomonに。こっちにきてからサロモン大好きな人になっている。
月の途中に、またもメンタルが不安定になり、ふと雑司ヶ谷さんが自分に刺さることを昔ツイートしていたことを思い出してその本について聞いた。教えてもらったのはアドラー心理学の『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』という本だったのだが、これが非常によかった。アドラー心理学は過去に漫画か何かで見たことがあったのだが、最近SNSに精神を振り回されている自分を俯瞰してみることができたし、異なる考え方に触れて気持ちが楽になったと思う。もちろんこの日から180度変わったわけじゃなくて、また時間が経つと凝り固まってしまうところはある。でも、その度に読み直せるものがあるだけで心の拠り所になってくれると思う。

仕事の面では、カスタム書体のアイデア出しに参加したのだけれど、自分のバリエーション出しの拙さや、アイデアがあまりに本文よりによってしまっていること(ギミックを入れるのが下手なこと)を再度実感した。結果として自分の出したもののいくつかは同僚やクライアントに対して評判は良かったものの、チームのメンバーの案はずっと工夫されていて、まだまだ勉強するところが多くあるように感じている。また、フランス人で、インターンの時から働いていた同い年の同僚が退職することになった。今年結婚(というよりもう少し軽い、PACSというパートナーシップ制度の入籍)があり、それでやや遠いところに引っ越したので通勤が大変だったようだ。朝どちらも早めに出勤していてよく話していたし、単純にタイプデザインがうまくて主力のメンバーだっただけに寂しい。お別れパーティは過去の同僚やインターンも呼んだ盛大なものだった。でも自分は人見知りすぎて全然話しかけれらなかった。よくない。

11月の末には、NivirusくんがRuS Fjernをリリースしたことも記憶に新しい。この書体の凄さや熱意に関しては本人のnoteを読む方が早いと思うので詳細は省くが、Munnin AntiquaからFjernを通して感じるNiviくんの凄さと尊敬しているところは、好きなことへの入念はリサーチはもちろん、写本といった手の筆致を現代的な感覚へ昇華し、今の使用にも耐えられるクオリティにまで作り上げるセンスだと思う。そして、その作り上げる工程を既存の書体を調べ、学び、ときには様々な先達に問うて学ぶ姿勢でもある。自分はその昇華が未熟で、今まで卒制で2回取り組んできたが、拾う必要のないディティールを残してしまったり、逆にそれを尖らせすぎて使いづらくしてしまったりと、改善の余地しかないものばかりである。あとはもちろん、カーニングやダイアクリティカルマークなど書体を販売するにあたって持っておくべきものは当然のように備えているのもNiviくんらしい。そして何より販売するという勇気。想定以上に(SNSの反応が)跳ねていたのもすごかった。

僕は書体を一向に完成させないまま数年が経ってしまっているので、本人には呆れられているか、諦められているか、馬鹿にされているかもわからないが、書体がリリースされた時の自分の感情は嬉しい、かっこいい、尊敬する、申し訳ない、羨ましい、悔しい、etc…が混ざり合っていた。あとやっぱりNiviくんって愛される人だなと思った。帰ったときには会いたいような怖いような。来年こそは完成させたいけど説得力ないな。

ブラックフライデーもあり、最も趣味にお金を使った月とも言える。まず中旬、Steam Deckの限定モデルで白が出たのでそれを購入してしまった。Steamのゲームを友人とできないのは残念に思っていたが、とはいえWindows買うのはちょっと面倒くさいのでちょうどいい選択肢だった。周りの評判もいいし。次に飛行機の予約。これは趣味ではないけど、今回もJALにした。日本にいる時間を少しでも長くしたい。そしてAmazonで細々としたもの、化粧水や電池といったものから、乾燥に悩まされていたので加湿器、古くなっていた電動歯ブラシを買い替え、寝室のライトの自動点灯のためにSwitchBotを初めて買った。SwitchBotは思ったより融通が効かなくて大変だったが、単純にオンにするだけならなんとか機能してくれる。TwitterでSwitchBotをめっちゃ頑張ってるツイートを見たが、スマート電球を導入する方が絶対いいと思う。
あと、肉用の電動スライサーを買った。ヨーロッパには豚肉の薄切りがない。そのため、こっちにきてからは魚と鶏肉しか食べていなかった。イギリスにいた時は普通のスライサーで豚肉をスライスしていたが、こっちは長く住むことがわかっていたので電動のものをチョイス。結果、思った以上にデカかったことは誤算だが気軽にスライス肉を生成できている。特にこの年末年始は鍋を食べまくっている。
そして最後の買い物は家のオフィスチェア。引っ越したときに下調べをしてSIHOOというメーカーの300ユーロくらいのオフィスチェアを買ったのだが、ランバーサポートがどうも合わないし座面が前に傾斜していて全然フィットした感じがしなかった。10月くらいから買い替えを検討していて、TwitterでVitraやWilkhahnというメーカーを教えてもらったのだが、パリという街、全然試せるところがない。なので、日本に帰ったときに試して決めようと思っていたところに、Herman Millerがセールを始めてしまったのである。一度は中古も検討したが、どうも調べると基本法人にしか対象にしておらず、個人で買おうとすると100ユーロ近い送料がかかったり、自分で取りに行く必要があるっぽく諦めた。高まった気持ちを抑えきれず、以前座ったことがありフィット感が良かった覚えがあるセイルチェアを、真っ白なカスタムで注文してしまった。

そんなこんなで圧倒的支出をしてしまったのが11月だった。とはいえサイト制作やスマ納め、買い物と充実した月でもある。あと、来年2月のコミティアに小柴くんに色々相談させてもらいながら申請した。原稿は全く進んでないので早くこれを書き終えて進めないとまずい。

12月

ようやく12月。12月の初めにはようやく数ヶ月かけて準備してきた大成さんとのPodcast、墨とPathの発表と第1回の公開を行った。これは後述するしPodcast内でも語っているが、もともとPodcastはもっと書体の業界で働いてから、7年とか8年後に始めることを想定していた。しかし、精神的な焦りとか、逆に今やることで様々な考え方に触れたり、続けていった先で答え合わせをすることもできるんじゃないかと思い、この年になって始めてしまった。乗ってくれた大成さんには本当に感謝している。幸い狭い界隈ではあるがそこそこ話題になり、第1回も結構聞いてもらえている。現在の全プラットフォームでの再生回数は194回、Spotify上で聞かれた時間は71時間。もちろん全員が最後まで聞いているわけではないと思うし、一見少なくも見えるけど人の時間を71時間ももらっているというのはすごいことである。あと、Podcastランキング的なので一回デザインカテゴリで2位になってたらしいので、多分デザイン界隈のPodcast自体がそんなにパイがないのだろう。月末には大曲さんとの第2回の収録もした。大ボリュームになると思うけど、まだ編集が残っている。お楽しみに。

そっから先はスマ納めの制作をやっていたことしか覚えていない。本当に一生スマ納めをやっていた。仕事の面では、12月の初めにクリスマスツリーの飾り付けを職場で行った。飾り付けと言いつつ結局は職場での飲みである。オークションのボードゲームをやったのだが、自分の買い物の下手さがそのまま出てて面白かった。クリスマスの一週間弱前には同僚とプレゼント交換、クリスマスディナーにも。プレゼント交換は事前に相手がわかるので、よくお茶を飲んでいる中国人の同僚にはりんごほうじ茶をプレゼントして、自分はイラン人の同僚からレゴのモンスターボールをもらった。ディナーはフレンチだったのだが、最初1時間くらいカクテルだけ飲むパートがあり、そこからご飯の席に移動という形で興味深かった。そしてフレンチなので時間がかかる。デザートを食べた頃には夜の12時くらいで、自分は12時半には退席したがその後も同僚はかなり残っていたらしい。昔は朝までとかもあったとか。フランス人どうなってるんだ。次の日も仕事なのに。その日は、判断ミスってデザートの時にエスプレッソを飲んでしまったせいでろくに寝れず、次の日は全然作業が捗らなかった。

会社で行ったクリスマスツリーの飾り付け 会社のクリスマスディナー

あと、仕事で作っていた漢字校正用のツール、Kanji Replace Toolsを一般公開した。仕組みはほぼGPTが作っていた自分は指示とスタイリングをしているだけだが、限られたキャラクターセットを実際の分で試せるのは結構良い。

クリスマスイブ、11月に注文したセイルチェアが届く。元々は45営業日と書かれていて、仮にその通りに来たら自分がちょうど日本に帰国している時なのでどうしようかと不安になっていたが、ちゃんと届いてよかった。流石に高い買い物だっただけに配送も丁寧で、普通の宅配が玄関で渡されるところを6階まで運んでくれた。エレベーターに入らなかったので階段で。セイルチェアはかなりフィットしていていいのだが、古い椅子をどうするかというのが問題である。捨てる前にまずフランスの有名な個人間売買サイト、leboncoinに出してみることにして、100ユーロで売ることを意識して150ユーロの値段をつけたところ、1日の間になんと3人も連絡が来る。2人は反応がなかったものの、一人はちゃんと返してくれて、最初70ユーロを提案してきたもののなんとか90ユーロに持ち直した。
その日はクリスマスで、交渉が決まったのが22:30くらいだったのだが、今日なら行けるから今日取りに行っていいかと言われる。いや俺もシャワー浴びちゃったし流石に遅いし…と思ったものの、次の日は仕事なので今日解決した方が嬉しいということでとりにきてもらうことになった。
正直強盗だったらどうしようとか不安があったものの、12時過ぎに友人と二人車で取りに来て、部屋の前で状態を確認した後お金を渡し、そのまま階段で持っていってくれた。スムーズだったしお金ももらえてラッキー。あとで部屋の写真を送ってくれたのだが、めっちゃ日本好きそうだった。

クリスマスイブ。流石にフランスにいるならクリスマスっぽいことするかと思い、スーパーで買い物ついでにチキンを購入。ケーキも買おうと思ったが近くのブランジェリーは休みだった。イブにチキンを食べ、余った分は後日に回しつつ、クリスマスの日は鍋を作って食べていた。来年とかはマーケットやミサに行ってみてもいいかもしれない。
スマ納めが終わったあとはひたすらアドベントカレンダー用の振り返り記事を書いていたのだが、要点を並べる下書きをしてから記事おこしをしていたら3万5千字を超えてしまい、特大ボリュームになって3日遅れてしまった。そしてこの記事も遅れた上同じような文量になっている。長いと読んでもらえないのにね。

クリスマスに食べた鍋。豚肉が食べられる幸せ。

そんなこんなで一年が終了。12/31まで仕事があったためあまり年末年始感がなかった。同僚の8割くらいは有給とってるので、来年は僕も有給を取ろうと思う。あと今年は細かく記事を書かなかったせいで振り返りが死ぬほど長くなってしまった。来年はもっとブログを書こう。

買って良かったもの、見て良かったもの、ハマったもの

この辺りも紹介していく。フランスに移った影響で買ったものは多い。

ガジェット・カメラ・オーディオ部門

8BitDo Micro

8BitDo Microは現在使っているカーニングコントローラーで、Bluetoothのゲームパッド。パソコンにはキーボードとして認識されるため扱いやすい。公式のアプリでも割り当てはできるが、細かい組み合わせはできないのでその点は外部アプリを使う必要がある。接続機器によってモードを変えられるのだが、使わないときはモードを変えておくと誤接続防止にもなるのがいいポイント。唯一惜しい点はカラバリがあまりない点か。白くれ!

8BitDo MicroとSN30Proの比較画像。非常に小さい

Bowers & Wilkins Px7 S2e

Bluetoothヘッドホン。音よし、見た目良し、機能よし。おそらくノイズキャンセリングはSonyやBoseに比べると弱いとは思うが、そんなに求めてないので今くらいで良い。たまに出勤の時に使っているほか、家では優先接続でオーディオIFに繋ぐことでゲームとMacの音をミックスして聞いている。Bowers & Wilkinsは昔のモデルもかっこいいけど、今も嫌いじゃない。でも昔っぽいのも欲しい。買い替えに際してはタカヤさんが後押しをしてくださった。感謝。

ヘッドホンをゲットしてウキウキの私

SIGMA 18–50mm F2.8 DC DN

使いやすい距離でのズームレンズはXCになる前のFUJIFILMのキットレンズであったXF18–55mm F2.8–4R LM OISがあったと思うが、やはり望遠側がF4.0というのが惜しかった。開放大好きな趣味フォトグラファーの自分としてはやはり2.8通しが欲しかったのだが、フジの2.8通しは高いしデカかった。そこで出てきたのがこのSIGMAである。結果、かなりコンパクトで写りも良く満足している。多様なシチュエーションが求められる時にはこれ。

Xbox ワイヤレスコントローラー

Xbox Design Labで作ったコントローラー。StarfieldやホヨバースのゲームをiPadでやるために購入。Xboxのコントローラーは一体型の凹凸のない造形が綺麗だし、妙な持ちやすさがある。十字キーも最近かっこよくなった。電池駆動だが、電池持ちもかなりいい。もちろん自分は真っ白なカスタムにしており、ボタンを透明に、十字キーをメタリックにしている。

Xbox Design Labで作った真っ白なコントローラー

GENELEC 8010AW

モニタースピーカー 。以前、音環境よくしたいんですが何がいいっすかねーと有馬さんの家で有馬さんに聞いたところ教えていただいたスピーカー。そのときはRAWのカラバリいいよね〜という話をしていたのだが、やっぱり白にした。元々2つペアで9万ちょっとしたのだが突然5月に8万弱まで値下げして、つい勢いで購入してしまい、5月末に帰った時に持って帰ってきた。購入報告したらginreiさんやイズミさんなど所持者が集まってきて面白かった。自分は音を形容する語彙を持ち合わせていないが、すごいよく聞こえる気がする。細かいというか、質が高いというか。長く使う。

Elgato Stream Deck Neo

自分の使っているマイク、Rode NT-USB Miniにはミュート機能がなく、くしゃみする時とかはちょっと大変だったので、ミュートボタンが欲しいと思っていた。そんな折にNeoシリーズが発表され、ニューモーフィズムっぽい見た目に白のカラバリということで購入した。正直あまり配信はしていないのでストリーマーっぽい使い方はできていないが、そこそこ便利に使っている。設定しているボタンは、マイクミュート、現在Musicで再生している曲の再生/停止、辞書を起動、Px7 S2eに接続してアウトプットを切り替え、Musicアプリを起動、Twitter (Stack)を起動、イラレを起動、Glyphsを起動など。マイクミュートは直接はできなかったものの、Loopbackを経由してマイクの入力を作ると実装できた。Macは動画などを再生しているとF8などに割り当てられている再生/停止がそっちに持ってかれてしまうので、Musicアプリのみに絞って再生/停止ができるのは良い。また、Bluetooth接続はApple Scriptで制御している。

Stream Deck Neoの写真

M4 iPad Pro 11-inch

iPad Proは2020年に買ったものを使っていたのだが、機能面ではあまり困らなかったものの容量が256GBとかでいっぱいいっぱいになっていたので買い替えたかった。iPadの主な利用目的はスケッチもなくはないが、9割はYouTubeと漫画、ホヨバのゲームプレイ用である。原神、スターレイル、ゼンゼロを入れようと思ったら流石に256じゃ厳しい。正直Airでよかったのだが、周りがなんかみんなProを買う雰囲気だったのでProにしてしまった。Apple Pencil Proの機能はあんまり使えている感じはしない。

BenQ ScreenBar

フランスでの住居のデスクライトに購入。前に大成さんが使っていたのを思い出して。かなり良い。デスクライトを基本的にクランプなどで使うと他のディスプレイアームやカメラなんかと干渉するのだが、これはディスプレイに置くだけなので干渉しない。そして十分な光量もある。これから全部これでいいやんという気持ちになった。色温度だけは詳細に設定させて欲しい。

Belkinのワイヤレスチャージャー

Webサイトで見つからなかったのでもう販売してないかもしれないが、iPhone, Apple Watchともう一つ充電できるチャージャー。Belkinは浮いているやつをメインで売り出しているが、Magsafeはケースによってはくっつかない可能性があるし、ディスプレイの下に置くので画面に被って欲しくなく置くタイプを購入。プラスチックで高級感はあまりないものの機能十分。白なのも良い。

デスク周りは他にもモニターアームなど買ったものはあるが紹介するほどではないので省略。CMF Watch Pro2も買ったものの買ってよかったものには入らないかな。Apple Watchで良い。

ソフトウェア部門

DTL OTMaster

DTL (Dutch Type Library)とURWが開発しているツールで、FontMaster Utilitiesの一つ。フォントビルド後にOpenTypeテーブルや機能を非破壊的に確認及び編集ができる。他のフォントを覗きたい時、Glyphsはあくまで制作ツールなのでそういった用途には向いておらず、かといってttxはxml形式でやや敬遠してしまうところがある。その点OTMasterはUIはちょっと変なところもありつつテーブルやオルタネート字形などを簡単に確認できて便利。

Controller Lab

カーニングデバイスのキーバインド設定はController Mateというソフトウェアで行われていたが、開発が止まって数年経ち、最新版のOSでは動かなくなってしまっている。そんな中それを惜しんだファンによって作られたソフトウェアらしい。(まだ試せていないけど)モダンなUIでController Mateっぽくノードベースでキーバインドを設定できる。ありがとう。

Cavalry

元々使っていたモーショングラフィックソフトではあったのだが、ライセンスが結構高い上にポンドだったためここ数年はサブスクを止めていた。しかし、最近OpenType機能周りのサポートがかなり充実したため再度契約。ネイティブにバリアブルフォントを扱えることもあり、プロシージャルの構造は慣れると非常に扱いやすい。スマ納めの告知モーションでちょっと使った。

iZotope RX Elements

Podcastのリップノイズ除去のために購入。Black Fridayで安くなっていたが、頻繁にセールをしているらしい。ElementsのグレードはVSTプラグインなのでアプリなどはなく、各アプリケーションから呼び出す形で使うのだがそこがよく分かってなくて手間取った。DaVinciで使い、確かに軽減の効果を確認できている。しかし書き出し時間がめっちゃ伸びた。

Cursor

話題のエディタ。墨とPathのWebサイト制作でVSCode+Copilotを試用期間で使ってみたが、まあ便利ではあるもののそんな高頻度でも使わないので定額払い続ける必要はないと思って解約した。そして、現在はCursorでRyo Nakaeさんの記事を参考にして従量料金制で使っている。インラインチャットが便利。でもどんどんエディタが使う領域が広くなってきている。

ChatGPT

前からあるものだが正直何に使えばいいのか、用途を見つけられていなかった。よく使うようになったのはフランスにきてから。主な用途としては、PythonやWebの機能を提案させたり調整したり、エラーを解決してもらったりというプログラミングサイドのものと、フランスの手続きや商品探しがある。フランス国内で物を探すときやサービスを探すとき、翻訳の手間とかそもそもどう検索するかみたいなところで手間がかかることが多い。なので、一旦GPTに聞いてからワードを聞き出し、そこから自分で検索するというフローになりつつある。

生活部門

IKEA SKÅDIS(有孔ボード)

前は金網や有孔ボードといった壁掛け収納はダサいと思っていてあまり好きではなかったのだが、ベニヤっぽい質感が悪いのであってIKEAのプロダクト的な白い感じならいいんじゃないかと思い買ってみたところ、なかなか良い。それぞれのツールも作られているのでピッタリハマって気持ちがいい。今の所、雑誌入れ(iPad置き)、筆立て、小物トレー、ヘッドホン掛けなどをつけていて、追加でebayで買った3DプリントのコントローラースタンドをProコン、Xboxコントローラー、DualSense用につけている。

IKEAのボードを使ったデスクの収納

IKEA EKRAR(帽子かけ)

こっちにきてからほぼ毎日帽子をかぶっていて、数も増えてきたのだがかけるところがなかった。コートハンガーにかけようとするとコートに干渉するし、鞄掛けのスペースを取るのも勿体無い。実家は帽子かけがあって家族全員が使っていたなあと思い返し買ってみたのだがなかなかいい。帽子はもちろん、サコッシュやインナーダウン、部屋着のパーカーなどをかけている。用途が広くて便利。

IKEA PÅLYCKE(クリップ式バスケット)

IKEAはキリがないのでこれが最後。食器棚の板に挟む形で宙に浮かして使える収納なのだが、これがよくできているというか、需要が分かってんなーという感じ。おたまやフライ返しをかけるものと、ラップやジップロックを置く場所として使用している。

LEVOIT 加湿器

こっちの冬場はラジエーターなどをつけるわけだが、まあ夜喉が渇いて夜中目が覚めてしまう。そのための加湿器だが、超音波式なので方式としてはあまりよくないだろう。とはいえ寝る時しか使わないのでよしとする。安かったし。

セイルチェア

今年のベストバイに近い。コンパクトで圧迫感がなく、体にフィットし、見た目もよく、カラバリも多い。しかもそんなに高くない。文句なし。ちょっと値段は高くなるがフルアジャスタブルアームにしたが良い。黒の方が白より安かったのは納得いかない。

真っ白にカスタムしたセイルチェア。座るやすい。小さい。良い

額縁

Subpixel Mattersのポスターと百合姫の色校を飾るのに買ったが、やはり額縁に入れると一気にぽさ、部屋の上質さが増して良い。重いけど透明度が違うのでガラスの方が良い。

百合姫の色校を入れている額縁。入れるとそれっぽい Subpixel Mattersのポスターを入れている額縁。デザイナー感

ファッション部門

F/CE フリースプルオーバー

冬場の私に会ったことがある人はわかると思うが、自分は秋から春にかけてほとんどプルオーバーしか着ていない。かっこいいので。基本的にはアウトドアやテック素材のものを着ていたが、代官山のROOTSに行った時にポケットが可愛かったので購入。あったかいしかなり愛用している。素材のロゴだけがな〜

F/CEのグレーのプルオーバー。ポケットが多くて可愛い

meltum SCOTCHGARD™ PULLOVER SMOCK & WP CLIMBING TECH PANTS Sorona®

友人(この友人はスニーカーとかを教えてくれる友人と同一人物、というかファッション文脈で出てくるのは全部同じ友人)がmeltumというブランドを教えてくれたのだが、見た目がすごい自分好みだし高すぎないので、ショルダーバッグと一緒に購入。シルエットがよく愛用している。ショルダーバッグは一時期通勤に使っていたが、さすがにMacBookを入れると重くてあんまり今は使っていない。

MERRELL Moab Mesa Luxe1TRL

スニーカー。オールブラックでウォーキング用に買った。かっこいいんだけど正直あまり履いていない。黒いスニーカーをどう合わせればいいかわからない。気がついたらAcneのベルクロスニーカーを選んでいる。でもかっこいい。

MERRELLのスニーカー。歩きやすく、横から見るとかっこいい

Salomon TECHAMPHIBIAN 5 & ACS 2

水場でも使えるアウトドアシューズ。サンダル代わりに履けないかと思ったが、紐が干渉して靴擦れするので靴下は必要。とはいえ通気性いいし見た目もいいしで夏場のお気に入り。
ACS 2はサコッシュ。容量は多くないのでカメラを入れるとぱんぱんだが、ポケットが多くて色々入れ分けられるところがいい。スタイリッシュな見た目でちょっとした外出に。
一緒にXT-6 GTXも買ったのだが色選びをミスってあまり履いてない。悲しい。

Salomonのスニーカー二種類。フランスのメーカーなのでよく買っている

Salomon XT-MARY J MM6 MAISON MARGIELA

サロモンとマルジェラのコラボスニーカー。唆されて買ってしまった。オールブラックながら質感や光沢で見せてくる感じが良い。甲が空いている変わったデザインなので夏場とか、ワイドパンツを履いている時に一緒に履きがち。難しいけど好き。

サロモンとマルジェラのコラボスニーカー。質感がかっこいい

帽子類 Acne Studios / VOU / IDEA キャップ、Salomon ニットキャップ

前は外出のたびヘアセットをしていたのだが、流石に毎日出勤の旅するのは面倒で帽子をほぼ毎日かぶるようになった。元々Nothingのキャップを持っていたのだが、4月くらいに多分お昼を食べた時にお店に置き忘れて無くしてしまった。代わりにAcne Studiosの白いキャップを買って、これは白いアウターに合わせている。5月に日本に帰った時VOUで買った緑のキャップは夏場にTシャツに色を加える感じで。IDEAの”All England Techno Club”は服のトーンを合わせたい時、グレーのトップに合わせたい時とかに使っている。黒よりもグレーが使いやすい。
また、冬場は耳がとにかく冷たくなるのでそれを防ぐためにSalomonのニットキャップも。デカSalomon文字でアピールしている。

家にある最近使っている帽子群と帽子かけ

VOUのTシャツ

京都行った時に色々買った。デザインがやっぱりいい。グラフィックデザイナーって感じ。

karrimor cleave 30 Medium

友人に教えてもらった登山用バックパック。飛行機の座席の下に入れるためのバックパックで、なるべく容量が大きいものが欲しくて購入。かっこいいし、登山用のアクセサリーは鬱陶しいと思っていたがいざ旅行になると頼もしい。容量も十分入るが欲を言えばポケットがもう少し欲しかったか。一応防水カバーも買っている。

Tropicfeel Hive Backpack

これも友人に教えてもらったバックパック。普段使い用なのだが、Tropicfeelのバックパックはアドオンが豊富で拡張性がすごく、自分はカメラケースとスマートパックというアドオンを買っている。折りたたみ傘を入れられる防水のサイドポケット、ドリンクポケット、パスポートを入れているシークレットポケットなどkarrimorとは対照に大量のポケットがあり便利。

Tropicfeelのバックパック。非常にギミックが多い

クリスマス前に買ったAcne Studiosのアウターが今日(1/2)届いた。これは2025年の振り返りかな。

本部門

イギリスで買った品々

エフェメラフェアで買った古い地図、契約書、雑誌に加え、Magcultureなどの本屋で買った雑誌と本。デザイン関連の本はNotes on Book Design By Formal SettingsとEYE Magazineだけで、他は一般的なクラフト、犬などの雑誌である。あとロンドンガイド本も2冊。この本に載って居場所には何箇所か旅行中にも行けたので良かった。

エフェメラフェアで買った古いマップや契約書 ロンドンで買った雑誌など

明朝体の教室(鳥海修)

明朝体を制作するにあたって、それぞれの文字ごとの解説や制作の手順、グルーピングなどが、他書体との比較をしながら示されている。自分がこれから和文をやっていく中で参考になることも多いだろうと思い購入したが、実際この本を傍に置いて今も作っている。明朝体制作の教科書ともなる本だが、あくまで鳥海さんの基準の本ではあるので、もっとこういう本がいろんなところから出たら面白いなと思う。

筑紫書体と藤田重信、明朝体の教室の書影

組版造形 タイポグラフィ名作精選(白井敬尚)

ついに、というかようやく出版された組版造形。まだしっかり読み込むに至ってはいないがやはり一番好きな組版は白井先生とその前に連なるブックデザインの文脈の作品なので、本の形になったことが何より嬉しい。ギリギリ渡仏に間に合わず、白井先生が送ってくださったのだが届かず日本にUターンしてしまって、結局は自分でも購入した。最近本文組版はあまりできておらず、腕も落ちていると思うので学び直したい。

Conter-Printのセールで買った本

Serif in Use, Fedrigoni 366, Creative Packaging, Animal & Monoguram Logo Book, Iconic, Hip Hop Logosなど。基本的にはロゴデザインの参考用だが、Fedrigoni 366やCreative Packagingなどは色や包装の参考になるかと思って買った。昨今の書体はとにかく多いのでそれらを追うためにSerif in Useなども。こういうのにちゃんと出していくべきなんだろうなーと思う。

長い時間をかけて届いたCounter-printの本

The Arizona Type Specimen 2 (Dinamo)

Dinamoの書体、Arizonaの見本帳。リングで閉じられており中身は上下2分割されていて、各ページ一色のインクで刷られている。中身はシンプルな書体見本という感じ。

ひとりでも学べるフランス語(中村敦子)

その名の通りフランス語の文法勉強本。単元ごとにわかりやすく簡潔にまとめられており、例もある。もちろん音声付き。

努力は仕組み化できる(山根承子)

努力をいかにシステム化することについて書かれている本。習慣化、サンクコスト、などなど。勉強にはなったがそれで習慣化できているものがあるかというと怪しい。習慣化できる人はすごい。

嫌われる勇気、幸せになる勇気(岸見一郎、古賀史健)

アドラー心理学を解説している本。対話形式なので読みやすく、青年の感情の起伏が面白いのでつい先を読みたくなる構造をしている。メンタルの乱高下が激しい自分にはとても良い本で、自分の感情がどのようなメカニズムで生み出されているのか、自分の見方がどう歪んでいるのかといったところを再確認できてよかった。実践は非常に難しいと思うが、今年一番読んでよかった本であることは間違いない。

HTML解体新書(太田良典、中村直樹)

HTMLの要素や、そもそもどのようにHTMLが生まれたか、バージョンアップの歴史などをかなり根幹の部分から歴史とともに解説している本。aタグをどこに置くべきかわからなくなって読み始めたが、Webをもっとちゃんと理解したいという人におすすめ。完全な初学者だと何をいってるやらという感じなので、ある程度かけるようになったところで読むのが良さそう。

漫画部門

宝石の国

4月あたりに完結記念で全話読めたので読み通した。詳細は言わない(言えない)が苦しかった。皆さんがいう通り間違いなく名作であり、そして辛い気持ちになる。

ブルージャイアント

飛行機の中の時間潰し、映画は眠くなって内容覚えてられないしゲームは集中できないしで、気になってる漫画を30巻くらい読みまくるのが個人的にアツい。行きはブルーロックを読んで、まあまあ面白いサッカー漫画ですねという感じだった。帰りはブルージャイアント。主人公の成長のステップと、ただひたすらに練習量や熱意で周りの人を動かしていくのが気持ちいい。

Thisコミュニケーション

マワシヨミジャンプというアプリがまだ健在だった頃はそれで読んでいたのだが、サ終してからは読めていなかった。完結したということでゼブラックで途中から読み始めたのだがやはり面白い。そもそもどうやってこの設定を考えついたんだというところから、さまざまな敵への対応方法など頭を使う感じが面白い。そして最後のまとまり方もこれ以上なく美しい。グロいところもあるけど面白いので是非。

ドッグスレッド

ゴールデンカムイの作者、野田サトル先生の現在の連載作。ゴールデンカムイの前に連載されていたスピナマラダ!のリブートで、元フィギュアスケート選手のロウがアイスホッケー界に入り、成長していく物語。手塚治虫的なスターシステムが使われており、ゴールデンカムイでお馴染みの見た目の人物が登場する。ゴールデンカムイの時もそうだったが、激しい試合や戦闘の場面、コメディの場面、シリアスな場面のメリハリがよく組み立てられていて引き込まれる。まだ数巻しか刊行されていないが続きが楽しみ。

クロシオカレント

元々作品自体は知っていたが読んでいなかった。しかし、3巻で完結したと聞いて読んだ。BALCOLONY.さんが装丁を手がけており、ロゴはもちろん表紙の裏や奥付け、目次などのあしらいでめちゃくちゃ遊ばれておりかっこいい。そして物語自体も魅力的なキャラクター、突拍子のない設定、そしてそれが徐々に明らかになっていき3巻で綺麗にまとまる様子は美しかった。作者の方の次の作品が出たら読みたいと思わさせる。絵がかわいい。

ゲーム部門

今年のSwitchのプレイ時間は44時間、PS5のプレイ時間は616時間で一番プレイしたのはゼンゼロ。でも、ゼンゼロはベストバイに入れていない。というのも最近引退を考えているからである。ゲーム性は面白い。ストーリーも面白い。テレビパートも自分は好き。でもこのゲームはソシャゲでありキャラゲーである。新しいキャラを引かないと環境についていけないのだが、このゲーム、全く自分が引きたいと思えるキャラが実装される気配がない。しかも最近、ホヨバースのゲームはイベントの期間が短くなりがちで忙しいとどうしても取りこぼしてしまう。そんなこんなでゼンゼロはモチベが低い。崩壊スターレイルもやや意欲が落ち気味だったが、オロンパスで引きたいキャラが出たので引き続きやろうと思っている。なんだかんだ一番ちゃんとやっているのは原神である。

鉄拳8 & Street Fighter 6

昨今の格闘ゲームの盛り上がりは感じつつも、スト6の方は使いたいキャラがあまりいなくて買っていなかった。だが、鉄拳8の方はキャラ紹介ムービーがプレイしたくなるかっこいいムービーで、発売日に買って始めた。キャラはキングで、修羅(初心者卒業くらい)まで行って止まっている。スト6は周りが一斉にやり出したことと、一周年で半額になっていたので買った。カワノさんを応援しているのでルークを使おうと思っていたが、弱体化によりなるおさんの影響でリュウを使うことにしてモダンリュウでプラチナまでランクをやってそこで終わっている。
どっちも面白いのだが、確かに世間でスト6の人気が出るのもわかる。個人的にプレイしていてヒリついたり勝った時に嬉しいのは鉄拳の方なのだが、鉄拳はキャラ固有の技が多く、個別のキャラ対策をしないと勝つのが難しい。でもそんなことは初心者には大変なので基本的にわからん殺しになる。一方、スト6の方はモダンというシステムがあり入りやすいのはもちろん(鉄拳も全然パッドでできる操作ではあるのだが)、「ドライブラッシュ」「ドライブパリィ」「ドライブインパクト」「中段」「重ね」など、システムや対戦の仕組みがある程度共通しており、「自分が次にどう上手くなればいいか」がわかりやすいと思う。例えば、もっとキャンセルラッシュを使ってコンボを伸ばそうとか、ちゃんと重ねて起き攻めで稼ごう、とか……鉄拳もリプレイの中でキャラ対策を教えてくれる機能はあるのだが、避ける手段が横移動という奥行きを利用したものであったり、何かと難しい。ただ、個人的には鉄拳の方が好きではある。勝った時が気持ち良すぎるので。

学園アイドルマスター

今年のベストゲーム、その1。有馬さんとNiviくんが関わっているというのもあるが、個性的なキャラクターばかりの中で花海咲季さんが良すぎる。ゲームのリリース前にYouTubeにアップロードされたFighting My Wayは1週間くらいその曲だけを延々とリピートして聞いていた。顔がシンプルに良すぎるのもあるが、咲季さんに関しては先に来る印象は「かわいい」よりも「カッコいい」と「憧れる」である。このキャラクターは戦い、闘争の価値観の中で生きていて、妹(佑芽さん)の目標となるべく延々に追い付かれないよう先を走り続けるという設定なのだが、お互いが大好きで仲がいいのに、お互いの存在、思い出が呪いになっているというとんでもない構造になっている。本当によくこんな設定にしたと思う。凄すぎる。
アイマスシリーズはおそらく18くらいの頃に始めたデレステから、ミリシタ、sideM、シャニマス、シャニソン(シャニシリーズはログインしてるだけ)とやってきているけど一番自分にキているのは花海咲季さんだと思う。音ゲーではなくプロデュースのゲーム性だが、自分でも理解できるくらいわかりやすくよくできているのもあるかも(シャニソンは難しすぎて諦めた)。
最近リリースされたNIA編のストーリーもめちゃくちゃ良かった。とにかくやってくださいとしか言いようがない。でも半年でこれやってここからどう展開していくんだろう。

エルデンリング

数年前から買ってはいたのだが積んでいた。しかし、DLCが出るということで始めることに。エルデンリングのすごいところはもちろんその世界のルックとかなんとも引かれる雰囲気とか硬派なゲーム性とかがあると思うのだけれど、個人的に特に興味深いのはプレイヤーの進めるモチベーションを牽引する要素の少なさである。エルデンリングのストーリーは正直かなり薄い。メインのシナリオだけだと塩振った素パスタ(流石に酷いか)みたいな感じだし、キャラクター感のストーリーや繋がりはあるが意図的に拾っていかないと拾えず、取りこぼしている人も多いだろう。しかも、「次はここにいけ」みたいな指示もなければ、マップ上のアイコンも全然ない。そんな中プレイヤーが進める意欲になるのは「新しい武器・戦技・祈祷・魔術の入手」と「それらが使えるステータスになるまでレベルを上げること」だと思う。そんなシンプルで少ない要素で何十時間もプレイさせるのはなかなかにやってると思う。事実、ビルドをある程度完成させた自分はDLCの意欲があんまりなかったりする。
自分は最初は上質系で進めていたのだが、結構普通に攻略を見ながらやっていたため、そこで見た筋神系が面白そうだと思い、途中からそっち方向に変更。常に大盾を構えてガードカウンターを使う堅実なスタイルで、最初は猟犬の長牙、途中はマレー家の執行剣、最後はモーグウィンの聖槍を使っていた。バトル前には祈祷でバフをかけまくり、竜餐祈祷も使ったり。

メタファー:リファンタジオ

ベストゲームその2。このゲームはProject Re Fantasyみたいな名前でずっとアトラスのWebサイトにはあったのだが、一向に進展の雰囲気がなかったのだがついに登場という形。発売日からやる予定はなかったのだが、ネタバレも怖いし最初は触っておくかと思って始めたらズブズブとはまっていってしまった。システムは日常パートがペルソナで、戦闘パートやフィールドはペルソナとメガテンを合わせたような形。スキル(アーキタイプ)の取得などはアバタールチューナーにも近いと思う。プレスターン最高。アバチュはリメイクして欲しい。
シナリオについては、序盤はまあまあそんな感じだよねという王道な感じなのだが、中盤や終盤から雰囲気が一変。一気にアトラス、メガテンっぽくなってきて、終盤のどんでん返しにはまさにやられたという感じ。ペルソナあたりもそうだが、かなり現代日本を風刺しているようなポリティカルな内容も取り扱っており、感じ入るところがあるし、青少年などにも影響を与えるかもしれない。
戦闘パートのモーションとかについては、ペルソナの方がスタイリッシュだったのでは?と思うところもあるが、時代感を反映した重さなのかなとも思ったり。ただ、ジンテーゼはもうちょっと作り込んで欲しいところはある。雰囲気やアート、宗教画から取り入れられたモンスター、世界樹の迷宮の日向氏が携わるアーキタイプの造形など、一般ウケとアトラスらしさを絶妙な具合でチューニングしていると思う。
そして、中盤から自由にアーキタイプを選べるようになってくると一気に育成が楽しくなる。フィールドのシステムがよくできており、ペルソナ5で不評だった瞬殺のシステムをいい感じにアクションに取り入れ、ザコは美味しい経験値稼ぎに、同格の敵や格上の敵は緊張感のある戦闘の起こりを楽しめる。投げナイフが強すぎるが。フィールドパートが楽しいのでレベル上げも楽しい。また、ゲームオーバーになった時もフィールドでは復帰が異様に早く、ハードでプレイしたいアトラスユーザーをよくわかっていると思う。
自分の終盤のパーティはフィールドでは使い分けつつ、ボスは主人公、ハイザメ、ヒュルケンベルグ、バジリオで組んでいて、主人公がいい感じにサポートとか攻撃をしつつ、ハイザメはジェネラル系統の履修によるバフをかけながら敵の攻撃を避け、ヒュルケンベルグが無効バリアを貼り、バジリオが弱点付与で殴りまくるという形。ちなみに途中の海上と祭りで人を選ぶ奴はフィデリオとストロールを選んだ。
80時間くらいかかるけどあっという間です。やってくれ。

マーベルライバルズ

12月くらいにリリースされた、マーベルキャラを使ったOW系統のヒーローシューター。元々友達とApexをたまにやっていたのだが、バトロワは15分アイテム集めて実際の戦闘は30秒で負けて一試合終了、みたいなこともザラにある。そういった辛さもあり最近は1vs1のゲームがやりたいと思っていたところに、少なくともエンドゲームまではMCUをちゃんと追っているマーベルライバルズが出るということで、スマ納めの準備中にちょっとずつ触っていった。
オーバーウォッチはプレイしたことがなかったが、高校生の頃ハマっていたTeam Fortress 2に似たゲーム性で馴染むのは早かった。どんなキャラでも本人のエイムや立ち回りでなんとかなるApexと違い、ヒーローシューターはタンク、アタッカー、サポーターといった役割にしっかりと従事することが求められる。そして、チーム内の割合が崩れると普通に負ける。これが絶妙に面白くて、キルをしていなくても明確にチームに貢献している感覚があるし、基本は味方や敵の強さ、大きな流れで試合が決まっているように見えて稀に「自分が試合を動かした」という瞬間があり、そういうのが楽しい。
>昨今のシューター系のゲームがキャラの魅力などが要因でサービス終了することもある中、マーベルはあまりに積み重ねてきたIPが強く、それを存分に生かしている。詳しく知らない人も、自分のように部分だけ知っている人も、過去のコミックに登場したスキンやヒーロー同士の掛け合いを見ていると思わず調べたくなるし、そういった誘引の部分もよくできていると感じる。
キャラはドクター・ストレンジとムーンナイトをメインで使っている。最初はコンクエスト(チームデスマッチ)をやっていたが、あまりに混沌だったのでクイックマッチに変更。ランクがゴールド以上でムーンナイトのスキンがもらえるということでランクを始めて、なんとかプラチナまでは到達した。しかし、スマ納めが忙しくなってきたこと、自分の腕前だとダイヤはかなり大変そうなこと、なんだかんだキャラ固有の性能が強いためメタキャラを意識しなきゃいけないことなどがあり最近はあまりやっていない。一緒にやる友達がいたらもっとやってると思うけど。

アサシンクリード ミラージュ

つい最近始めた。アサクリシリーズはちょっと前燃えていたが、こちらは前作。アサクリシリーズは好きなので新作もいい感じに直して出して欲しいところではあるが。
序盤で十数時間やった感覚はアサクリ2に近い。3やオリジンズ以降、船や馬での広大な大地、海の移動が多くなり、個別の街が小さめになるという現象があったが、(これから広がるかもしれないが)今回はバグダッドという街をしっかり楽しめる。また、前作のヴァルハラは古すぎて街の建造物が低すぎるという問題があったが、今回はちゃんと街の形をしている。ヴァルハラは全部英語でやった結果大枠はわかるが細かいニュアンスがわからず苦労したので、今回は音声のみ英語でやっている。

音楽部門

学マスの曲を聴きまくったり、名取さなさんを新曲の影響でたくさん聞いたり、突然コメティックにハマって聴きまくったり、t+pazoliteさん、サカナクション、chelmicoなどは引き続きたくさん聞いたりなどはあったが、特筆すべきは(ファッションで出てきた)友人に教えてもらったJin Doggをはじめとした日本のヒップホップをよく聞くようになったことだろう。Jin Doggに加え、BAD HOP, PETZなど。あと前聞いていたFNCYも聴くようになった。ポップ、ロック、ゲームミュージック、どれからも摂取できない成分がヒップホップにはあると思うし、職場で流した時の同僚のウケも良い。ヒップホップ付きのインターンには代わりにフランスのヒップホップのプレイリストをもらった。

配信・動画部門

今年はあんまり配信を見なかった。時差もあるけど、配信という文化に対しての疲れというか、興味が薄くなってきた感覚がある。そんな感覚はありつつも。

SFL

今年最も熱くなってみていたのはSFLことストリートファイターリーグだと思う。応援している同世代のカワノさんが所属するチームで、優勝候補でもあり非常につよい。みていく中でガチくんやぷげらさんも好きになっていった。

SFLを見るようになるとより選手たちを知りたくなるし、結果CRカップとか配信者との絡みの中でもプレイヤーの関係性がわかりやすくなって良かった。数ヶ月楽しませてもらって大満足。今後に控えるグランドファイナルも楽しみ。

なるおさん

めちゃくちゃ強いストリートファイターの配信者ではあるのだが、選手ではなく配信者。気さくで優しく面白い。使っているファイターもジェイミーとリュウという変わったキャラ選で、視聴者数も多いのに割とコメントを拾ってくれる。鉄拳の動画がめちゃくちゃ面白いのでみてほしい。

オモコロ

前TwitterでQuizKnockを見ている人は同時にオモコロとバキ童も見ているみたいなツイートを見た。その時点では見ていなかったのだが、12月から突然〇〇王シリーズをはじめとしてハマり出した。オモコロ自体はTwitterをしていれば流れてくるのでちょくちょく読むくらいの読者ではあったが、ネットミーム満載の空気感は居心地がいいし、下品なネタは自分はまだこんなんで笑ってしまうのかと思わされる。同種の感覚。

言語の部屋

年末の複数人の作業通話で、確かCumuloworksさんが教えてくれた言語についての解説をしているチャンネル。複数の言語に触れる身としてシンプルに内容がとても面白いし、自分が扱っている言語への理解も深まる。フランス語は英語に似ていて助かるなあと思っていたら英語がフランス語から単語を借用していたり、英語は比較的簡単だなあと思っていたら発音周りはカオスだったり、フランス語の特徴を聞きながらそうそうフランス語はそこが大変なんだよ…と思ったり。一個欠点を挙げるとすると内容が難しいので作業しながらだと素通りしてしまうことである。この数日でかなり動画を見た。

こんな感じで振り返りは終了。なんだこの長さは…最後に自省を挟んで終わりたいと思う。

なんかいい感じだった2024年

今年を振り返って。渡仏して書体デザイナーとして働き、そして個人でもフランスやスマブラの制作などを頑張って、密度の濃い良い一年を過ごせたと思う。2025年になった今、ちゃんと「2025年になったな」という実感がある。
去年の振り返りの記事で、「自分の一番旬の時期である35歳くらいに向けて手とめ、頭を磨き続けたい」と書いた。もちろんその考え方は間違っていないし、磨き続けていきたいと思う。しかし、今までの自分はその磨き続ける道をある種苦行のような、修行のようなものだと考えていた。思えば、高専途中くらいから、自分の人生は永遠にゴールに辿り着いてはそれがスタートになり、またゴールを目指す…という生き方の繰り返しだった。美大への編入。卒制で賞を取る。卒業して就職。いくつかの仕事を有馬さんのもとでさせていただく。大学院の準備、留学。卒業。個人で書体の仕事を受ける。書体デザイナーとして就職。次のゴールは独立だろうか?その次のゴールは?TDCで入選?本を出す?人を雇う?――おそらく、この感じだと自分は一生満足しないと思う。何かを達成してもすぐ他の界隈や歴史と比較して卑屈になり、次の目標を探し出し、歳をとっても何も成し遂げなかった感覚で死にゆくのではないかと。

その考え方が変わった一つ目のきっかけが、買った本のところでも述べた「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」だった。この本に気付かされたことはたくさんある。劣等コンプレックス、自己肯定ではなく自己受容、貢献感都共同体感覚、縦の関係でなく横の関係、などなど……非常にどれも気づきがあったし気になる人は読んでみて欲しいのだが、一番自分に刺さったのは「人生とは連続する刹那である」「われわれは『いま、ここ』にしか生きることができない」という内容であった。

哲人 ええ。われわれはもっと「いま、ここ」だけを真剣に生きるべきなのです。過去が見えるような気がしたり、未来が予測できるような気がしてしまうのは、あなたが「いま、ここ」を真剣に生きておらず、うすらぼんやりとした光のなかに生きている証です。
人生は連続する刹那であり、過去も未来も存在しません。あなたは過去や未来を見ることで、自らに免罪符を与えようとしている。過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。「いま、ここ」を真剣に生きていたら、そんな言葉など出てこない。
岸見一郎、古賀史健 (2013). 嫌われる勇気 ダイヤモンド社

この部分にはハッとさせられた。今まで自分はずっと将来を見ていたし、大学院の卒業までは大曲さんが教えてくれた道をただフォローするだけだった。でも、「いま」をもっと楽しんでいいのだと。いつになるかもわからない「将来のその時」を待つ必要はないのだと。不安から早めに始めたPodcastだったが、結果的にはこの考え方とも一致していた。
この本を読んでからかなりポジティブになった。Twitterにいる人は競争相手ではなく共創する仲間であり、自分は今やりたいことをやっていい。他人が自分をどう見ているかなんて気にする必要はない。自分がここでやるべきことに全力を注げばいい。

2つ目のきっかけは、つい先日の墨とPathの第2回、大曲さんをゲストに迎えての収録だった。大曲さんは多くのスクリプトを手がけている。収録の中で大曲さんがおっしゃっていたのは、(大曲さん自身も教授のGerryからの引用ではあるが)「完璧である必要はない」ということ。もちろん良いクオリティを目指すべきではあるが、自分たちはネイティブじゃない以上どうしても遅れをとってしまう。ノンネイティブでもそこそこのものは作れるが、完璧に近いものはネイティブの方が圧倒的に有利だ。でも、「そこそこのもの」にも価値があるし、完璧を目指すとキリがない。‘Good enough’ でもいいじゃないか、という話。
この会話は、自分の悪い完璧主義的側面を打ち砕いてくれたと思う。これは自分の将来に関わってくることで、自分は「書体デザイナーのトップ」になりたいと考えては…いた。しかし、毎日自分の書体を作っているわけではないし、ブックデザインもグラフィックデザインも好きだし、Webも好きだ。人の書体も使いたい。「書体デザイナー一本で行く」と一度決心しても少しすると別のことをしたくなる。飽き性だし。
しかし、書体デザインだけを極める必要はない。そもそも書体デザイナーのトップなんて一人しかいないし、どうやって測るのだろうか。自分の価値を一本の軸だけで見ていたら苦しくなるのは自明であった。
人はスキルの掛け合わせだ。大曲さんは人の書体を買うことに興味が湧かないと言っていたし、自分より書体デザイナー一筋だと思う。でも自分もそれに完璧に倣う必要はない。書体デザインをやりつつ、他のことをやってもいい。そこに他人が価値を見出してくれるかどうかは置いといて、日本語と英語とフランス語が話せて、ラテンとギリシャとキリルとアラビア語とかながそこそこ作れて、グラフィックデザインとブックデザインがちょっとできて、Webがややわかる究極の器用貧乏を目指してもいいのだと。

正直去年の記事と全く別のことを言っている。一部の人はがっかりするかもしれない。知らん。2025年は自分のやりたいことをやる。旅行も行く。ゲームもする。書体も作る。グラフィックデザインもWebもやる。一周しかない自分の人生、3年しかない20代。

そんな感じで、2025年は生きていきたいと思う。また賀正の記事も書きます。また、1/23から2/18まで日本に帰っているので、いろんな人とご飯に行けたら嬉しいです。2025年も、何卒よろしくお願いいたします。